ウェスタンブロッティング用推奨コントロール
ウェスタンブロッティングの最適化をお考えでしょうか。 化学発光および蛍光ウェスタンブロッティング用の推奨コントロールは本項目でご覧いただけます。 ワークフロー、トラブルシューティングのサポート、 step-by-stepガイダンスについては、ウェ スタンブロットガイドをご覧ください。
目次
すべての実験でコントロールの使用が不可欠です。ウェスタンブロッティングも例外ではありません。 コントロールを使用することで、予期せぬエラー(ランダムなエラーと体系的なエラーの両方)の原因の認識に役立つばかりでなく、結果に悪影響が及ぶ前にエラーを修正するうえでも役に立ちます。
ポジティブ コントロール ライセート とは何ですか?また、なぜ使用されるのですか?
ポジティブコントロール・ライセートは、検出対象のタンパク質を発現することが知られている細胞株または組織サンプルのライセートです。 ポジティブコントロールの結果が陽性であれば、サンプルの結果が陰性でも、その手順と試薬は最適化され、機能していることがわかります。
したがって、結果がネガティブだった場合は妥当性を検証することになります。 逆に、ポジティブコントロールの結果が陰性の場合、プロトコールの少なくとも1つのステップが正しく機能しなかった、または抗体に問題があることがわかります。
新しい実験を設定する際は、ポジティブコントロール・ライセートを使用することを強く推奨します。これにより、プロトコールの信頼性をすぐに確認できます。
ヒント:目的タンパク質の発現状態が十分に明らかにされていない場合、過剰発現する細胞株または組織のライセートをポジティブ・コントロールとして使用してください。 組織中のタンパク質発現レベルは個体差や不均一性の影響を受けやすく、組織ライセートではバッチ間のばらつきが生じやすくなります。ポジティブコントロールとして組織ライセートよりも細胞ライセートを使用することをお勧めします。
リン酸化修飾タンパク質などの修飾されたターゲットについては、コントロールとして総抗体の使用をおすすめします。 薬剤処理により制御を受けるタンパク質については、同じシグナル伝達パスウェイからのコントロール抗体を使用して、シグナル伝達パスウェイが正常に活性化されているか検証することをおすすめします。
抗体製品のデータシートも確認されることをお勧めします。多くの場合、推奨されるポジティブコントロールが記載されています。 使用する組織または細胞株が研究対象の生物種に由来したものであることを必ず確認してください。 推奨される適切なコントロールがデータシートに記載されていない場合もあります。このような場合には以下を推奨します。
- 抗体が引用されている文献や製品レビューの有無を確認してください。 お客様から高評価を得ている組織、細胞、ライセートは、適切なポジティブコントロールとみなすことができます。
- データシートのSwiss-ProtまたはOmnigeneデータベースへのリンクをご確認ください。 これらのデータベースには、ターゲットタンパク質を発現する組織が記載されていることが多いです。 これらも適切なポジティブコントロールとみなすことができます。
- タンパク質については、GeneCardsまたはHuman Protein Atlasのデータベースをご確認ください。 これらのデータベースには、通常、各種組織および/または細胞株における相対的なタンパク質発現レベルが記載されています。
- それでも適切なコントロールを見つけることが難しい場合、PubMedの文献検索機能を活用し、ターゲットタンパク質を発現する組織や細胞を確認することをおすすめします。
Swiss-Prot、OmnigeneまたはHuman Protein Atlasなどのオンラインデータベースを使用する場合、それらのデータが何に基づいているのかを確認してください。 mRNA発現に基づくデータの場合、検出可能なタンパク質レベルとの相関関係が不十分な場合があります。
Swiss -Prot、Omnigene、Human Protein Atlasなどのオンラインデータベースを使用している場合は、データの出所を検討してください。 mRNA発現に基づくデータの場合、検出可能なタンパク質レベルとの相関関係が不十分な場合があります。
ネガティブ コントロール ライセート とは何ですか?なぜそれが重要なのですか?
ネガティブコントロール・ライセートは、検出対象のタンパク質を発現しないことが知られている細胞株または組織サンプルのライセートです。 ネガティブコントロールでは、抗体の非特異的結合と結果の偽陽性を確認することができます。
ヒント:陰性 コントロールとして、検証済みの ノックアウト細胞株 または組織サンプルからの ライセート を使用します。
ローディングコントロールとは何ですか?また、それらが必要な理由は何ですか?
ローディングコントロールは、研究対象の細胞種またはサンプルにおいて高レベルで、恒常的に発現するタンパク質です。 通常は、アクチン、GAPDH、チューブリン、ミトコンドリア・タンパク質などのハウスキーピング遺伝子を選択します。
ローディングコントロールにより、ゲル全体でタンパク質のローディングが均一であることが確認できるため、検出対象のタンパク質レベルの標準化に役立ちます。 また、ローディングコントロールの発現レベルは異なるタイプのサンプル間でも一貫していると推測されるため、ローディングコントロールを用いることで、サンプル間のデータの信頼性が確保されます。
以下は、ウェスタンブロッティングにおけるネガティブコントロールとローディングコントロールの例です(図1)。
図1. ウェスタンブロッティング 抗βアクチン抗体[AC-15] (ab6276)を用いる。 レーン1:野生型HAP1細胞ライセート(20 μg)。 レーン2:β-アクチンノックアウトHAP1細胞ライセート(20 μg)をネガティブコントロールとして使用。 レーン1および2:マージされたシグナル(赤、緑)。 緑 - 42 kDaでβ-アクチン(ab6276)が観察されています。 赤 - 37 kDaで観察された ローディング・コントロール (ab181602) 。Ab6276 は、野生型HAP1 細胞(レーン1)においてβ-アクチンと特異的に反応することが示された。 ネガティブコントロール(レーン2のβ-アクチンノックアウト細胞ライセート)にバンドは認められませんでした。
ローディングコントロールを必要とする主な理由は以下のとおりです。
- 定量: レーンを均等にロードしていない場合、ローディングコントロールバンドの密度を使用してローディング差を補正することで、 ローディング・コントロール を使用して各レーンのタンパク質量を定量できます。
- 均等な転写:ローディング・コントロールには、ウェスタンブロッティングでのコントロールとしてのもう1つ役割があります。 ゲル全体にわたって、ゲルからメンブレンに均等に転写されているか確認するために使用できます。 これはサンプル間のタンパク質発現レベルの比較に不可欠です。
- エッジ効果: これは、多数のレーンが一度に実行されているシグナリングアッセイまたは実験において特に重要な問題です。 ゲルの外側レーンのタンパク質は、フレームに近い位置でメンブレンに転写されます。 これにより、ゲルの他のレーンと比較して結合のばらつきが大きくなる可能性があります。 ローディングコントロールは、この効果が発生したかどうかを表示し、バインディング の変動を補正することができます。
- 査読者からの要請:論文発表レベルの品質の研究には、ローディングコントロールの使用が不可欠です。 例えば、Nature誌などの多くのジャーナルで論文を公表するには、その論文が4つの一般的な基準を満たしている必要があり、その第一段階として「結論についての強力なエビデンスが提示されている」ことが不可欠です。 これはすなわち、得られた結果の妥当性を証明するコントロールが必要であることに直結します。
以下の表を使用して、使用するサンプルタイプに適したローディングコントロールを選択してください。 なお、ローディングコントロールは、検出目的のタンパク質とは分子量が異なるタンパク質を選択することが重要です。 これにより、バンドを識別できるようになります。
kDa | 全細胞 | ミトコンドリア | 核 | メンブレン | 細胞骨格 | 血清 |
|---|---|---|---|---|---|---|
125 | ビンキュリン | - | - | - | - | - |
110 | - | - | - | NaK ATPase | - | - |
75 | - | - | - | - | - | トランスフェリン |
66 | - | - | Lamin B1* | - | - | - |
60 | - | HSP60 | - | - | - | - |
55 | αチューブリン** | - | HDAC1 | - | αチューブリン** | - |
50 | βチューブリン** | - | YY1 | - | βチューブリン** | - |
42 | アクチン | - | - | - | アクチン | - |
40 | β-アクチン*** | - | - | - | β-アクチン*** | - |
35 | GAPDH† | - | TBP‡ | - | - | - |
30 | - | VDAC1/Porin | PCNA | - | - | - |
24 | Cyclophilin B | - | - | - | - | - |
20 | コフィリン | COX IV§ | - | - | COX IV§ | - |
15 | - | - | ヒストンH3 | - | - | - |
*核エンベロープを除去したサンプルには適していません。
**チューブリンの発現は、抗菌薬および細胞分裂抑制薬に対する耐性によって異なる可能性があります(Sangrajang S et al., 1998; Prasad V et al., 2000)。
***骨格筋サンプルには適していません。 アクチンタンパク質合成後に、細胞増殖状態の変化や細胞外マトリックス成分との相互作用を生じる可能性があります(Farmer et al., 1983)。
†特定の細胞タイプでは、低酸素症や糖尿病などの一部の生理学的因子によりGAPDH発現が増加します。
‡DNAが除去されたサンプルには適していません。
§多くのタンパク質は、COX IVと同じく16 kDaサイズで泳動します。
内在性 コントロール ライセート とは何ですか?いつ使用すべきですか?
リコンビナントタンパク質サンプルをテストする場合、内因性コントロールを含めることが推奨されます。 リコンビナントタンパク質のフォールディングは、内因性のNativeな状態とは異なり、抗体がエピトープにアクセスするのを妨げる可能性があります。
使用する抗体に対する免疫原配の列がリコンビナントタンパク質に含まれていることを必ず確認してください。 内因性ポジティブコントロールは、結果を検証して、試薬(例:抗体)およびプロトコールがどの程度機能しているか把握するうえで重要です。
リコンビナントおよび過剰発現タンパク質を検証するためのコントロール
リコンビナントまたは過剰発現タンパク質の検証には、抗タグ抗体の使用が推奨されます。 さらに、mRNAレベルの評価によるタンパク質の過剰発現の検証も推奨されます。 免疫原がタンパク質タグと同じ末端に位置する場合、抗体によるエピトープの認識が、タグによって妨げられる可能性があるため注意が必要です。
使用する抗体に対する免疫原配列がリコンビナントまたは過剰発現タンパク質に含まれていることを必ず確認してください。
一次抗体なしのコントロール
これは、二次抗体のみを添加する場合に使用します。 このコントロールにより、二次抗体による非特異的結合が起きているかわかります。 これは、マルチプレックス・ウェスタンブロッティングの最適化の際に、二次抗体が互いに干渉せず、オフターゲット結合を引き起こしていないことを確認するうえで特に重要なステップです。
手順のこの時点では、一次抗体溶液の代わりに抗体を含まない抗体希釈バッファーを使用します。 二次抗体は、通常どおり、サンプルと一緒にインキュベートします。
蛍光ウェスタンブロッティング用のAlexa Fluor®標識ローディング・コントロール
蛍光ウェスタンブロッティングの登場により、様々な蛍光色素を用いて複数のタンパク質を同時に分析できるようになりました。この技術は、ウェスタンブロッティングの標準的な化学発光検出法と比較して、直線性と再現性が向上することが証明されています。
蛍光ウェスタンブロッティングは、可視光範囲内で膜の自家蛍光が生じる可能性を回避するために、スペクトルの近赤外領域で非常によく機能します。
したがって、蛍光ウェスタンブロッティングでは、Alexa Fluor® 680やAlexa Fluor® 790などの明るく安定した近赤外染料が必要となります。
Alexa Fluor®はLife Technologiesの登録商標です。 Alexa Fluor®色素コンジュゲートは、Life Technologiesによりアブカムにライセンスが付与されている技術を含んでいます。
参考文献
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