組織透明化ガイド
有機溶剤を用いる方法、水溶性化合物を用いる方法、ハイドロゲルベースの方法など、組織透明化法の詳細についてご覧いただけます。
目次
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組織透明化とは?
組織透明化とは、組織サンプルから不透明な分子を除去して、透明化する方法です。 組織透明化を行うことで、光の散乱や吸収が最小限に抑えられ、顕微鏡観察時の光の透過性が向上します1。 サンプルの光吸収が最小限に抑えられることにより3D顕微鏡画像の生成が可能となり、従来の2D法と比較して、生物学的構造をより正確に捉えることができるようになります。 組織透明化法は急速に進化を遂げており、この手法と最新の3D顕微鏡を組み合わせることで、intactな組織、臓器、さらには生物を丸ごと光学的に高解像度で探索できるようになります。臓器全体のほか、小型哺乳類でさえも細胞内の詳細を明らかにすることができます1。
マウス脳の冠状断、厚さ1 mmの切片をTissue Clearing Kit(ab243298)を用いて透明化し、NeuN抗体(ab177487)(緑)とDAPI(青)で染色しました。
透明化した組織サンプル内のさまざまなターゲットを免疫標識することで、さらに詳細な知見が得られます。 これにより、サンプル内の空間的分布を保持したまま、細胞内の構造やタンパク質を可視化できるようになります。 サンプルの微小環境をin vivoの状態で良好に観察できるため、目的のターゲットの予測や研究が加速されます2,3,4,5。
3D細胞培養を透明化する理由
3D細胞培養モデル(例:オルガノイド、微小組織、スフェロイド)は、in vivo微小環境をより適切に表現するため、従来の2D細胞培養モデルと比較して予測能力が向上します。 しかし、3D細胞培養モデルの問題の1つは、その特性評価です。 3D構造における細胞の溶解に依存するアッセイでは、これらのモデルを非常に価値のあるものにする空間的特徴が失われます。
3D培養は(臓器全体と比較して)比較的薄いにもかかわらず、光は1–3の細胞層を超えてもなお減衰するため、ほとんどの画像技術(広視野、共焦点)では、これらのモデルの周辺にある細胞のみが特徴付けられます。 末梢細胞は最も多くの化合物と栄養素を受け取るため、モデル全体を表すものではありません。 末梢細胞は、多くの場合、モデル内の平均細胞よりも化合物に対して非定型の応答を示します。 光学セクショニングを用いることで光の減衰と散乱の問題は解決されるものの、得られる情報は3Dモデルの単一の平面に関するもののみです。
組織透明化法を用いることにより、3D細胞培養の全体像を得ることができ、同時に構造的完全性を保つことができます。
3D肝細胞培養スフェロイドを3D Cell Culture Clearing Kit(ab243299)を用いて透明化し、albumin抗体(ab207327)(黄色)、CD68抗体(緑)、vimentin抗体(赤)、DAPI(青)で染色しました。
組織透明化法とヒント
複数の化学的処理と(場合によっては)電気泳動を行うことで、組織や臓器全体を透明化できます。 組織透明化では、脂質、色素、リン酸カルシウムなどの干渉分子を除去するため、複数の専用溶液で順次サンプルをインキュベートします。 組織透明化は一般的に、有機溶剤を用いる方法、水溶性化合物を用いる方法、ハイドロゲルベースの方法の3つの方法で行うことができます。 それぞれメリットとデメリットがあります。 詳細については、主な方法のプロトコールとFAQをご覧ください(表1)。
表1. 主な組織除去方法とそれに関連するオンラインリソースの一部。
有機溶剤を用いる方法
有機溶剤を用いる方法では、脱水ステップで水分を除去した後、有機溶媒でほとんどの脂質を除去します。 組織の屈折率を調整することにより、光の散乱を最小限に抑えます1。 有機溶剤を用いる方法は、サンプルを各種溶液に順番に浸漬するだけの簡単な方法です。
疎水性組織の透明化において一般的な方法であるDISCO(3D imaging of solvent-cleared organs)法は、汎用性が高く、多様な実験要件に簡単に合わせることができます2-4。 DISCO法は、さまざまな組織タイプや生物種において免疫標識をシームレスに実施でき、複雑な生物学的構造の研究に理想的です。
最初の脱水ステップでは組織が収縮しますが、有機溶媒を用いることで組織の永久保存が可能です。 特に免疫標識により内在性の蛍光シグナルを永久に安定化できるため、何度もイメージングしたり、サンプルの再解析を行ったりすることができます。
関連製品
当社製品には、Visikol, Inc.(Visikol社)が開発した組織透明化試薬が含まれます。Visikol社はデジタル病理学、3D細胞培養アッセイ、3D組織イメージングを専門とし、当社試薬の基礎となっているVisikol® HISTO™組織透明化技術を開発しました。
- 3D Cell Culture Clearing Kit
水溶性化合物を用いる方法
水溶性化合物を用いる方法では、水溶性試薬を用いることで組織本来の親水性の特性を維持し、収縮を防ぎます。 水溶性試薬は、タンパク質のような分子と水素結合し、これにより組織成分の3D構造が保持され、蛍光標識の完全性が確保されます。 さらに、これらの試薬は屈折率調整剤としても機能します1。
上田氏らによって脱脂・脱色の活性があるアミノアルコール類が特定され、CUBIC(clear, unobstructed brain or body imaging cocktails and computational analysis)法が開発されました。 脂質を除去することで、抗体などの分子が組織に浸透しやすくなり、大きなサンプルでの免疫標識が改善されました1。CUBIC法は、透明化組織のイメージングのための強力なツールといえます2-5 。
特定の実験要件に合わせてCUBIC法の改良が重ねられ、パフォーマンスが向上しました。 例えば、CUBIC-Xプロトコールは、水溶性化合物としてイミダゾールとアンチピリンを用い、サンプルを膨張させます。 この手法は、膨張顕微鏡法で効果的に用いられており、成体マウス脳イメージングにおいてシングルセルレベルの解像度が得られています6。
関連製品
当社では、CUBIC法に特化した製品を各種取り揃えています。
- 3D Tissue Staining Kit – CUBIC
- 3D Tissue Staining Pots (x10)
ハイドロゲルベースの方法
水溶性化合物を用いる方法では、水溶性試薬を用いることで組織本来の親水性の特性を維持し、収縮を防ぎます。 水溶性試薬は、タンパク質のような分子と水素結合し、これにより組織成分の3D構造が保持され、蛍光標識の完全性が確保されます。 さらに、これらの試薬は屈折率調整剤としても機能します1。
上田氏らによって脱脂・脱色の活性があるアミノアルコール類が特定され、CUBIC(clear, unobstructed brain or body imaging cocktails and computational analysis)法が開発されました。 脂質を除去することで、抗体などの分子が組織に浸透しやすくなり、大きなサンプルでの免疫標識が改善されました1。CUBIC法は、透明化組織のイメージングのための強力なツールといえます2-5 。
特定の実験要件に合わせてCUBIC法の改良が重ねられ、パフォーマンスが向上しました。 例えば、CUBIC-Xプロトコールは、水溶性化合物としてイミダゾールとアンチピリンを用い、サンプルを膨張させます。 この手法は、膨張顕微鏡法で効果的に用いられており、成体マウス脳イメージングにおいてシングルセルレベルの解像度が得られています6。
関連製品
当社では、CUBIC法に特化した製品を各種取り揃えています。