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二次抗体標識物の選び方

A useful guide to choosing the correct conjugated secondary antibody for your scientific application.


選ぶべき標識物の種類はアプリケーションによって異なります。

例えばウエスタン・ブロッティングや ELISA で最も多く使用される二次抗体は、酵素標識抗体です。免疫組織染色も酵素をベースとした発色系を行うことが多いですが、感度を高めるためアビジン-ビオチン反応を応用したシグナル増幅系を採用する場合には、ビオチン標識抗体を用います。またフローサイトメトリーや蛍光細胞染色など、複数のターゲットを同時かつ個別に検出するアプリケーションにおいては、蛍光標識抗体を使用するのが一般的です。以上代表的な 3 種類の標識抗体について、解説します。

アプリケーション標識物
ウエスタン・ブロッティング酵素(HRP、AP)
ELISA酵素(HRP など)、ビオチン
免疫組織染色 IHCビオチン、酵素(HRP など)
免疫細胞染色 ICC蛍光色素
Alexa Fluor®DyLight®
フローサイトメトリー蛍光色素
Alexa Fluor®、FITC、PE など)


酵素標識抗体

代表的な酵素として HRP(Horse Radish Peroxidase; 西洋ワサビペルオキシダーゼ)と AP(Alkaline Phosphatase; アルカリフォスファターゼ)があります。HRP は安価、安定性が高い、反応が早い、などといった特長が多く、標識酵素として最も広く用いられています。分子上の糖鎖を介して抗体に標識しやすいのも広く用いられている理由のひとつです。AP はサンプルの内在性物質の影響を受けにくい、特異性が高いなどといった特長があります。

酵素反応によって呈色や発光などのシグナルを生ずる物質を基質・発色剤といいます。可視で観察や測定を行う基質・発色剤(色素)には、水溶性と不溶性とがあり、前者は ELISA、後者はウエスタン・ブロッティングや免疫組織染色で広く用いられています。また蛍光や化学発光を生ずる基質・発色剤による検出系は非常に感度が高く、ウエスタン・ブロッティングなどで用いられています。各酵素の基質・発色剤とそれらの特徴を下表にまとめました。


酵素

酵素基質・発色剤

適用*

長所

短所

HRP

水溶性色素
(TMB, ABTS, OPD 等)

ELISA

扱いが容易

光感受性がある

不溶性色素
(CN, AEC, DAB 等)

WB, SB, IHC

扱いが容易

血球やいくつかの組織でバックグランドが高い

AP よりも呈色の安定性が低い

蛍光色素
(ADHP/resorufin)

ELISA

感度が高い

特別な検出機器が必要

化学発光

WB, SB, IHC

感度が高い

特別な検出機器が必要

AP

水溶性色素
(pNPP 等)

ELISA

直線性に優れる

安定性に欠ける

不溶性色素
(BCIP/NBT 等)

WB, SB, IHC

HRP よりも呈色の安定性が高い

核の対比染色を妨げる

蛍光色素
(4-MUP 等)

ELISA, IHC

感度が高い

特別な検出機器が必要






*WB: Western Blot, SB: Southern Blot, IHC: Immunohistochemistry, ELISA: Enzyme linkied immunosorbent assay




ビオチン標識抗体

ビオチン(Biotin)は分子量 244.3 の低分子化合物で、卵白由来のタンパク質アビジン(Avidin)、あるいはバクテリア由来のタンパク質ストレプトアビジン(Streptavidin)と特異的に結合します。この結合が非常に強力であることと、アビジン/ストレプトアビジン 1 分子に対し ビオチンが 4 分子結合することを利用し、抗体上に酵素を複数標識する、いわゆる増幅系を構築することができます。

これを利用した増幅系の代表的な手法として、Avidin-biotin complex (ABC) 法があります。これはビオチン標識抗体、ビオチン標識酵素(HRP など)、アビジンによって、抗体分子上に酵素の複合体を作らせるもので、主に高感度を必要とする免疫組織染色で用いられます(下図)。ABC 法については各種キットが市販されていますので、詳細は各キットのデータシートをご参照ください。




蛍光標識抗体

蛍光色素は、ある波長の光(励起光)を照射されると別の波長の光(蛍光)を出します(蛍光の原理について詳しくは「蛍光について」をご参照ください)。励起光と蛍光の波長は蛍光色素ごとに固有で、蛍光標識抗体など蛍光色素をプローブとして用いた実験においては、その蛍光色素固有の励起波長に近い光を照射し、得られた蛍光をシグナルとして検出します。励起波長と蛍光波長の差(ストークシフト)が小さい蛍光色素では、蛍光の検出に励起光が入り込みやすく、バックグラウンドが高くなります。こうした問題を解決するため、二種類の蛍光色素を同時に標識するタンデム標識という方法もあります(例 PE/Cy5.5)。


下に、抗体の標識に用いられる各種蛍光色素をまとめました。


蛍光色素


励起波長 (nm)


蛍光波長 (nm)


モル吸光係数(cm-1M-1*1

Alexa Fluor® 405

402

421

35,000

AMCA

346

442

19,000

Cy2

489

506

150,000

DyLight® 488

493

518

70,000

Alexa Fluor® 488

495

519

73,000

FITC

494

520

70,000

Alexa Fluor® 555

555

565

155,000

Cy3

550

570

150,000

Phycoerythrin

488

575

1,960,000

TRITC

557

576

100,000

DyLight® 550

562

576

150,000

Rhodamine

544

576

80,000

TAMRA

557

583

203,000

Cy3.5

576

589

150,000

Alexa Fluor® 568

578

603

88,000

PE/Texas Red®

535

615

-

Texas Red®

595

615

85,000

Alexa Fluor® 594

590

617

92,000

DyLight® 594

593

658

80,000

APC

650

662

700,000

Cy5

643

667

250,000

Alexa Fluor® 647

650

668

270,000

PE/Cy7

488

670

-

DyLight® 650

652

672

250,000

Cy5.5

675

694

190,000

PE/Cy5.5

535

694

-

Alexa Fluor® 680

679

702

183,000

Alexa Fluor® 750

749

775

290,000

APC/Cy7

633

776

-

Alexa Fluor® 790

784

814

260,000

蛍光色素名をクリックすると、その色素を標識した二次抗体製品のリストのページに飛びます。

蛍光波長が離れた蛍光色素を使用すると、同一検体に対して二重あるいは三重に染色することも可能です。このような多重染色を行うに当たっては、以下の点を考慮してください。


  • 使用する機器のフィルターに適した蛍光色素を選択してください。
  • 蛍光波長が十分に離れているもの(最低でも 40 nm)を選択してください*2
  • 最も発現量の低いタンパク質に対して、最も明るい蛍光色素を割り当ててください。
  • 複数の二次抗体を使用する際は、異なった動物種由来の一次抗体を使用してください。やむを得ず同じ動物種の一次抗体を使用せざるを得ない場合には、異なるサブタイプ(IgG1、IgG2、IgG2a、IgG3 など)のモノクローナル抗体を使用し、それぞれのサブタイプに対応した適切な二次抗体を選択してください。
  • 非特異的な交差反応を抑える血清吸着済み二次抗体は、多重染色に特にお勧めです
  • 蛍光色素を選択するに当たっては、サンプルの自家蛍光も考慮してください。例えば肝臓の自家蛍光は赤チャンネルで検出されるので、肝臓をサンプルとする際にはこの付近の波長の標識物質は避けてください。


*1 蛍光強度(蛍光色素の明るさ)はモル吸光係数に比例します。ただし量子収率など他の要素もあるため、モル吸光係数が高い色素ほど蛍光強度が高いというわけではありません。

*2 代表的な蛍光色素 Alexa Fluor® の有効な組み合わせは、二重染色の場合 488/647、三重染色の場合 405/555/647 などです。



Alexa Fluor® and Texas Red are registered trademarks of Life Technologies.  Alexa Fluor® dye conjugates contain(s) technology licensed to Abcam by Life Technologies.  DyLight® is a registered trademark of Thermo Fisher Scientific Inc and its subsidiaries. 

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