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サンドイッチ ELISA(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay; 酵素免疫測定法)は捕捉抗体(固相用抗体)と検出抗体の二種類の抗体で、抗原を文字通りサンドイッチして抗原を検出し、定量する系です。この系は直接法や競合法といった他の ELISA 系と比較して感度が高いこと(2~5 倍)、検体から抗原を精製する必要がないことなど多くの利点があるため、ELISA 法としては最も広く用いられており、数多くのキットが市販されています∗1∗2。ここでは市販のキットを用いず、自身でサンドイッチ ELISA の系を作成するための標準プロトコールをご紹介します。
サンドイッチ ELISA 系を作成するに当たっては、反応条件(抗体濃度、温度、時間など)の最適化が難しいのですが、それよりも難しくまた重要なのは、捕捉抗体と検出抗体の組み合わせの選択です。その組み合わせが適切でなければ、反応条件をどのように設定しても良い系はできません。組み合わせの選択に当たっては、抗体が結合する抗原上の部位、「エピトープ」がどのように存在しているか、1 種類のエピトープとのみ結合するモノクローナル抗体を用いるか、複数のエピトープと結合できるポリクローナル抗体を用いるか、といったことを考慮し、検討する必要があります。
モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体のいずれも、捕捉抗体と検出抗体の両方に使用できます。一般的に高い感度を得るためにはポリクローナル抗体を、高い特異性を求めるならモノクローナル抗体を、それぞれ選択します。選択に当たっては以下をご参照ください。
このように捕捉抗体と検出抗体の組み合わせの選択は慣れていない方には難しいかもしれません。そのためサンドイッチ系を構成することができる捕捉抗体と検出抗体を組み合わせたセット製品が市販されています∗3。最初はこのような製品をお試しいただくことをお勧めします。
原則として精製抗体を用いてください。腹水や抗血清といった未精製の抗体を用いると、抗体以外のタンパク質にブロックされて、抗体が固相化されにくくなります。
適切な標準曲線を得るためには、スタンダード溶液の濃度と幅を、予試験で厳密に最適化する必要があります。そのスタンダードはプレートごとに設定してください。また、サンプル、スタンダード共に、1 条件あたり 2 点ないし 3 点測定を行ってください。
ELISA においては様々な標識酵素が検出に利用されていますが、特に広く用いられているのはホースラデッシュ・ペルオキシダーゼ(HRP)とアルカリ・フォスファターゼ(ALP)です。ペルオキシダーゼは赤血球に、アルカリ・フォスファターゼは肺胞細胞や腸管組織に、それぞれ内在するため、バックグラウンドが高くなる可能性があります。用いるサンプルにおいて問題とならない標識酵素を選択するか、または必要に応じて内在酵素を失活させる処理を行ってください、例として、ペルオキシダーゼに対する0.3%過酸化水素溶液 / メタノール処理、アルカリ・フォスファターゼに対するレバミゾール処理などがあります。
以下に HRP および AP に対応する代表的な基質および発色剤を挙げます。
HRP用の基質・発色剤:HRP の基質は過酸化水素 H2O2 です。過酸化水素の還元と発色剤(水素供与体)の酸化が共役し、その結果として発色剤が発色します。
TMB (3,3',5,5'-tetramethylbenzidine):最も広く用いられている HRP 用の発色剤です。15~30 分反応させた後、等量の 2 M 硫酸を加えて反応を停止させ、450 nm の吸光度を測定します。
OPD (o-phenylenediamine dihydrochloride):TMB よりも感度が高い発色剤です。光に感受性が高いので暗所での保存が必要となります。発色後は 492 nm の吸光度を測定します。
ABTS (2,2'-azino-di-[3-ethyl-benzothiazoline-6 sulfonic acid] diammonium salt):TMB や OPD と比較して、長い反応時間が必要となります(一晩など)。発色後は緑色で、通常停止液を加えず 416 nm の吸光度を測定します。
ALP 用の基質・発色剤:ALP 用の基質・発色剤として最も広く用いられているのは pNPP(p-Nitrophenyl-phosphate;ニトロフェニルリン酸)です。室温で 15~30 分間反応させた後 0.75 M 水酸化ナトリウム溶液を加えて反応を停止させ、405 nm の吸光度を測定します。
注意:基質・発色剤の中には、発ガン物質である可能性があるなど、有害と見なされるものがあります。手袋をするなど、取扱いには十分注意してくだい。
一連の濃度希釈を行ったスタンダードを X 軸に、吸光度を Y 軸にそれぞれプロットし、標準曲線(検量線)を作成します。この標準曲線とサンプルの吸光度の値から、サンプルの濃度を求めてください。
∗1 ELISA kit / ELIPAIR kit / ELISPOT kit
∗2 SimpleStep ELISA kit
∗3 ELISA Set / ELIPAIR kit