免疫組織染色 FAQ

1. 抗原の賦活化はどのような方法で行えばいいですか?

免疫組織染色で数多くの実績がある抗体製品につきましてはデータシートに、その抗体に適した具体的な賦活化の方法が記載されています。記載されていない製品につきましては、「ジェネラル・プロトコール」や抗原賦活法の解説ページをご参照の上、条件をご検討ください。

ジェネラル・プロトコールとしては、アブカムのウェブ上のプロトコール集 Protocols and troubleshooting tips に、IHC antigen retrieval protocol (英文) があります。ここには加熱処理による賦活化の方法が記載されています。なお、ウサギ・モノクローナル抗体 RabMAb® につきましては、その性能確認はアブカムのラボにおいて、標準プロトコールに従って行われています。RabMAb® の場合はこちらをご参照ください。



2. 抗体の細胞透過性を高めるにはどうすればいいですか?

細胞内部にエピトープが存在する場合に抗体の細胞透過性を高める方法としては、アセトンやメタノールのような有機溶媒を用いる方法と、界面活性剤を用いる方法とがあります。

有機溶媒は細胞膜の脂質を可溶化し、比較的強力に透過性を高めます。ただし目的とするエピトープが膜貫通型タンパク質の細胞質領域である場合など、有機溶媒による処理がターゲットを変性させてしまう場合もあるので注意が必要です。

界面活性剤には、細胞膜の脂質を可溶化する力が様々な、たくさんの種類があり、ターゲットの性質などに応じて使い分ける必要があります。そのうち Triton や NP-40 は、比較的穏やかで使いやすい界面活性剤です。しかしながら長時間の処理では有機溶媒同様、ターゲットを変性させる可能性があります。その場合は Tween 20、Saponin、Digitonin、Leucoperm  など、Triton や NP-40 よりもさらに穏やかな界面活性剤を試してください。これらは核内タンパク質を染色するために核膜の透過性を高めるのにも使用できます。


3. なぜ内在性ペルオキシダーゼのブロッキングを行うのですか? そのブロッキングはどのように行えばいいですか?

​​​好酸球や赤血球など、ある種の細胞や組織にはミエロ・ペルオキシダーゼなどの内在性ペルオキシダーゼを含むものがあります。内在性のペルオキシダーゼも、抗体に標識された HRP と同様、H₂O₂ および DAB などの基質・発色剤と反応するため、そのまま反応させると内在性のペルオキシダーゼが存在する場所が非特異的に染色されたように見えます。このような非特異的反応は、HRP 標識二次抗体を反応させる前に H₂O₂ を用いた前処理を行って抑えます。

前処理に用いる H₂O₂ は、メタノールに溶解する場合と PBS に溶解させる場合とがあります。血液塗沫標本など形態観察を行う場合は、H₂O₂ はメタノールに溶解させた方が形態保持に有利です。ターゲットが細胞表面上に存在するタンパク質の場合は、メタノールで細胞膜が壊れやすいので、H₂O₂ はPBS に溶解させて処理してください。なお H₂O₂ の処理は、一次抗体を加えた後に行うことも可能です。



4. 抗体ごとに適した固定法というものはありますか?

固定は免疫組織染色において必須の処理ですが、この処理によってターゲット抗原のエピトープ構造が変化して抗体が結合しにくくなったり、抗体が細胞膜や細胞小器官の膜を通り抜けにくくなってターゲット抗原に接近しにくくなったり、といった変化が生じる可能性があります。

固定にはパラホルムアルデヒドのような架橋剤、メタノールやアセトンのような有機溶媒、酸などが用いられます。架橋剤は固定する力が強く、抗体が認識できなくなるほどの構造変化をターゲット・タンパク質抗原にもたらすことがあります。このような場合、抗原賦活化という処理が新たに必要となります。有機溶媒や酸の処理では抗原賦活化処理が必要となることはあまりありません。しかしながら上記 2 で述べたように、有機溶媒の処理は、ターゲット抗原が膜貫通型タンパク質の場合には適していません。

このようにターゲット抗原によって、また抗体によって、適した固定法は異なります。複数の方法を試し、最適な固定法を見つけてください。



5. 培養液や体液中の分散細胞サンプルはどのように染色を行えばいいですか?

懸濁液中の細菌や培養液中の浮遊細胞株のような浮遊サンプルは、サイトスピン (集細胞遠心装置) を用います。遠心によりサンプルはスライド上に固着します。これを乾燥・固定した後、染色します。



6. 蛍光色素の励起波長と蛍光波長とは何ですか?

蛍光についてのページをご参照ください。



7. 二重染色や三重染色はできますか? できるのならどういった点に注意して行えばいいですか?

同一のサンプル上で 2 種類以上の異なるターゲット抗原を検出したい場合、二重染色や三重染色といった多重染色を行うことができます。各ターゲットに対する一次抗体を混合して反 応させたり、1 種類ずつ順に反応させたりすることができます。行う際には次の点にご注意ください。

  • 各一次抗体の免疫動物は異なっていなければなりません。反応動物種が異なる二次抗体を複数使い、各ターゲットを区別して検出するためです。
  • 二次抗体に標識された蛍光色素や酵素はそれぞれ異なるものを選択してください。蛍光抗体法の場合、それぞれの蛍光色素の励起波長と蛍光 波長の重なりは、最小限に抑えてください。酵素抗体法の場合、違う色調の発色剤使用してください。これにより、各ターゲットは異なる色に染色され、区別することができます。蛍光についてのページ、 および Alexa Fluor® 標識二次抗体 FAQ のページ、をご参照ください。

なお多重染色を行う前には、まずは各抗体それぞれについて染色を試し、最適な条件を設定することをお勧めします。酵素抗体法の多重染色の場合、酵素標識二次抗体と色調の違う発色剤がセットになったキット製品を使うと、条件設定の必要が無く簡単です。サンプル組織の種類や使用する一次抗体のホスト動物種により適するキットが異なりますので、詳細は二重染色用キットのページ、三重染色用キットのページ、をそれぞれご参照ください。


これら以外のご質問がございましたらテクニカル・サポートまでメールまたは電話 (03-6231-0940) でお問い合わせください。

トラブルシューティング、FAQ (よくある質問)、Webinar (オンライン・セミナー) など、アブカムのウェブサイト上の技術情報を、ウェスタンブロット、免疫組織染色、フローサイトメトリーなどのアプリケーションごとにまとめた、便利なアプリケーション別技術情報のページをぜひご活用ください。

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