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抗体の産生
研究に使用する抗体は、動物(主に哺乳動物)に抗原を投与し、産生されたものを利用します。抗体を産生させるために投与する抗原を免疫原(Immunogen)とも言います。細菌やウィルスなどの病原体は強い免疫反応と抗体の産生を引き起こしますが、外来物質であっても強い免疫反応を起こさない物質も存在します。このような物質に対する抗体を産生させるためには、抗原の性状やホスト動物の選定を工夫して、免疫反応の増強を図ります。
タンパク質やペプチドの多くは抗原性が高い(抗体の産生能が高い)ですが、その中で分子量が小さいものは、抗原性はあまり高くありません。それは抗体の産生に必須なプロセスである、免疫提示細胞(APC)による抗原の処理と提示がうまくいかないためです。分子量の小さな物質に対する抗体を産生させたい場合には、BSA や KLH などのキャリア・タンパク質に化学的に結合させ、分子量を大きくして動物に投与します。また、アジュバンド(Adjuvant)と呼ばれる免疫反応の促進剤を同時に投与するということもよく行なわれます。
ポリクローナル抗体の製造
ポリクローナル抗体は、抗体を産生させるウサギ、ヤギ、ロバなどのホスト動物に抗原を投与した後、数週間~数ヵ月後に血液を採取し、その中に含まれる抗体を集めたものです。抗原の投与によって刺激され、増殖し、その抗原に対する抗体を産生する B 細胞は 1 種類(モノクローン)ではなく多種類(ポリクローン)です。したがってそれら B 細胞から産生され、血中に存在する抗体もさまざまな抗原エピトープを認識する多種類のものであり、ポリクローナル抗体と呼ばれます。
抗原を投与した動物の血液から得た血清は、目的とする抗原に対する抗体をたくさん含むため、アプリケーションによっては、そのままで実験に使用することもできますが、多くの製品は、Protein A カラムなどによって、アルブミンなど抗体以外のタンパク質を除いたもの(イムノグロブリン画分と呼びます)か、または抗原を固定化したカラムによって、その抗原に対する抗体のみを精製したもの(アフィニティ精製抗体と呼びます)です。
モノクローナル抗体の製造
モノクローナル抗体は、抗体を産生する B 細胞を培養で増やし、培養上清中に含まれる抗体を集めたものです。ホスト動物としてはマウス、ラット、ウサギなどの小動物を用いますが、抗原投与の方法はポリクローナル抗体の場合と同様です。抗原投与後血中に、抗原に対する抗体が存在することが確認できたら、ホスト動物から、抗体を産生する B 細胞を豊富に含む脾臓を採取します。脾臓から得られた B 細胞を培養して無限増殖させるために、不死化させた(永遠に増殖できる)がん細胞の一種、ミエローマと融合させます。融合して不死化し、かつ抗原に対する抗体を産生するような細胞をスクリーニングし、ただ 1 種類の抗体を産生する、1 種類(モノクローン)の細胞をクローニングします。このように樹立された細胞はハイブリドーマと呼ばれ、通常同定のためのクローン名が与えられます。
モノクローナル抗体を得るためには、ハイブリドーマをフラスコやボトルなどで培養し、培養上清を集めます。そこに含まれるのは、特定のエピトープのみを認識する 1 種類の抗体です。培養上清はポリクローナル抗体における血清よりも抗体の濃度は低いですが、アプリケーションによっては、そのままで実験に使用することもできます。またポリクローナル抗体同様多くの製品は、Protein A カラムなどによって精製したイムノグロブリン画分です。
図 1. ハイブリドーマの樹立とモノクローナル抗体の製造(クリックすると拡大します(PDF))