抗体ガイド 4. ポリクローナル抗体とモノクローナル抗体


まとめ

Polyclonal antibodies

ポリクローナル抗体

Monoclonal antibodies

モノクローナル抗体

生産のコストが低い。したがって比較的安価。

生産のコストが高い。したがって比較的高価。

複雑な技術は必要としない。

高いレベルの技術が必要。

高度なテクニックを必要としない。

テクニックを習得する必要がある。

作製にかかる時間は短い。

ハイブリドーマの樹立に時間がかかる。

多量の非特異抗体が混在する。

すべて特異的な抗体である。

抗原上の複数のエピトープを認識する。

抗原上の一つのエピトープしか認識しない。

ロットごとに抗体の組成が異なる。

ハイブリドーマが同じであれば、同一の抗体が得られる。

原則としてロットごとの違いはない。


ポリクローナル抗体

特性

  • 一つの抗原上の複数のエピトープを認識し、様々なアフィニティを持つ、異なる抗体の混合物です。
  • 含まれる抗体のクラスは主に IgG です。


製造

  • 生産コストが低くて済みます。
  • 製造に複雑な技術を必要としません。
  • 作製にかかる時間が短くて済みます。
  • 投与する抗原はある程度精製されたものである必要があります。


長所

  • ターゲット・タンパク質上の複数のエピトープに様々な抗体が結合するため、同じ抗原分子上にたくさんの抗体が結合できる可能性があり、結果としてシグナルが高くなります。
  • 複数のエピトープを認識するので、免疫沈降法(IP)でいい結果が出る傾向があります。
  • アミノ酸の変異、糖鎖の付き方、修飾などのタンパク質の小さな違いに対して、高い適応性があります。
  • タンパク質構造の少しの変化に対して、高い適応性があります。したがってサンプル中のタンパク質が架橋されている、ホルマリン固定組織やクロマチン免疫沈降(ChIP)用細胞ライゼートにおいては、モノクローナル抗体よりも反応しやすい傾向にあります。
  • モノクローナル抗体よりも比較的安価です。


短所

  • ロットごとに特異性が異なるため、場合によってはロットごとに反応性をチェックする必要があります。
  • 多くの非特異的抗体を含む可能性があり、アプリケーションによってはバックグランドが高くなります。
  • 複数のエピトープを認識するので、交差性の有無を調べるためには、免疫原の配列を確認しなくてはなりません。
  • 定量的な実験には適していません。
  • 抗原上のエピトープ部位を同定することは簡単ではありません(複数あるため)。



モノクローナル抗体

特性

  • 抗原分子上の一箇所のエピトープのみを認識します。
  • 一つのアイソタイプのみを含みます。


製造

  • 作製には高いレベルの技術が必要です。
  • 作製するためにはそのテクニックを習得する必要があります。
  • ハイブリドーマの樹立に時間がかかります。
  • 投与する抗原は必ずしも精製されているものである必要はありません(ただしスクリーニングを行う際には、精製された抗原が必要です)。


長所

  • 一度ハイブリドーマが樹立されると、その細胞を用いて、一定の特異性を有する抗体を、繰り返し何度でも作製することができます。原則としてロットが変わっても完全に同一な抗体なので、実験の一貫性や同一の水準を保つことができます。
  • ターゲットのエピトープを特異的に検出するので、ファミリー・タンパク質など近縁のタンパク質でなければ他のタンパク質との交差性はほぼみられず、組織・細胞染色においてバックグランドが低くなります。
  • (ポリクローナル抗体に比べて)微妙な構造の違いを見分けることができます。類似した構造を有する分子の混合物の中からでも、非常に特異的に抗原を同定することができます。


短所

  • 交差反応性が低く、ポリクローナル抗体よりも検出範囲が狭い傾向があります。
  • 抗原の変性、架橋などで抗原の構造が変化した場合、認識できなくなることがあります。そのため ChIP など使いにくいアプリケーションもあります。(このような場合、複数のクローンのモノクローナル抗体をプールして用いることがあります。)
  • ポリクローナル抗体よりも比較的高価です。



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