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Next generation IHC techniques

組織切片サンプルを使用し、免疫組織染色の手法と質量分析装置、マスサイトメーターの解析を組み合わせ、定量的な多重解析を可能とした新手法 MSIHC をご紹介します。この手法は「IHC の新時代」とも言うべき新しい技術です。

マスサイトメーターは 1000 cells/s 以上の解析能を有しており、MSIHC においても同等の感度で解析を行うことができます。また MSIHC は定量ダイナミック・レンジが広く、5 桁にもなります。これは、通常の IHC における 1 桁をはるかにしのぎ、定量的蛍光組織染色法 QIF(Rimm, 2014)における 2.5 桁よりも優れています。

これまでの IHC 法にはいくつかの課題がありました。例えば、対比染色では立体構造の解析が難しく、蛍光法では検出感度に問題がありました。また複数のターゲットを染色する場合には複数の組織切片サンプルを準備する必要があり、前処理における固定や変性によってサンプル間でタンパク質の状態が不均一となり、単純な比較はできませんでした。MSIHC は組織の同一サンプルを同時に、かつ高感度で定量することができ、上記のような課題を打開することができます。

質量分析を免疫組織化学的解析に用いるために

この手法では、ランタノイド金属原子で標識した抗体を使用します。複数のターゲットに対する複数の抗体を使用する場合は、それぞれの抗体を質量の異なる別々のランタノイド金属元素で標識しますが、その選択においては、得られるスペクトルのオーバーラップが最小となるような離れた質量のものにします。マスサイトメーターで検出された重金属の量は、対応する標識済み抗体が反応するターゲット・タンパク質の量と比例します。それでサンプル内の複数のターゲット分子の量の割合が算出できます。

2 つの研究グループから、それぞれ全く異なるアプローチで MSIHC 法を行った報告がされています。Bernd Bodenmiler のグループは、飛行時間質量分析 TOF-MS の原理で標識金属原子を解析する機器 CyTOF®Fluidigm 社より発売)を用い、レーザーによって組織や抗体をイオン化し、遊離した重金属イオンを検出して 1 マイクロメーターの解像度で解析を行いました。そして、通常の IHC 法で得られる画像に非常に近い二次元画像に定量性を付与した結果を得ています(Giesen et al., 2014)。

一方 Garry Nolan のグループは、走査イオンビームを用いてイオン化を行うことで解像度の向上を図る、多重イオンビーム画像化法(MIBI)と呼ばれる方法を取りました(Angelo et al., 2014)。この方法では一度にイオン化する量を少なくすることで 1 細胞あたりの解像度を上昇させることができましたが、真空化装置や多重検出器を備えた質量分析装置など、特殊な機器を必要とします。両グループ共に、イメージング解析ソフトを用いて検出した重金属イオンの情報を二次元の組織染色画像に再構築しています。


メリット

この技術のメリットの一つは、同じタンパク質をターゲットとした複数の抗体を、同一のサンプル内で直接的に比較検討することが可能であることです。例えば同一タンパク質内で異なる領域に反応する複数のモノクローナル抗体を使用することで、タンパク質構造の変化や翻訳後修飾による機能の変化を、抗体特異性の変化として観察することができます。

また、多くの種類の金属イオンを同時に使用することにより、複数のタンパク質に起こる微妙な変化を一度に観察できることもメリットの一つです。その際、細胞間での発現が比較的均一なハウスキーピング・タンパク質をコントロールとして同時に検出すれば、ターゲット・タンパク質の発現量の変化をより正確に推測することができます。

高品質な抗体の必要性

MSIHC 法においては、用いる抗体の品質が重要です。ターゲット以外のタンパク質への交差性が高い抗体や、検証が不十分な抗体では、十分な再現性が得られません。アブカムのウサギ・モノクローナル抗体 RabMAb® は、MSIHC 法でも力を発揮できる高品質な抗体です。

RabMAb® の特長:

  • ウサギ免疫系の特性による高い抗原親和性
  • モノクローナル抗体が持つ高い特異性と低いバックグラウンド
  • 組織マイクロアレイ(TMA)を用いた IHC 試験の実施 – 陽性および陰性の両コントロール組織にて性能を確認済
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