in vitro ファージ・ディスプレイによるモノクローナル抗体の樹立


抗体の作製が難しいタンパク質や低分子化合物などに対する抗体を樹立するための技術をご紹介します。

ジフテリアなどの毒素は致死性があるため、免疫動物に投与して抗体を得るのは難しいのは当然です。ここではジフテリア毒素(Diphtheria Toxin)に対するモノクローナル抗体を、ファージ・ライブラリーを利用して樹立する過程をご紹介します。この方法により実際に、ヒト・モノクローナル IgG1 抗体である ab209329 が作製されました。



概要

ライフサイエンスの研究者が取り組む研究の範囲は広がり、研究のターゲットとなる物質は増え続けています。それに伴い脂質やヌクレオチドなどの低分子化合物、毒素、膜タンパク質などの物質に対する抗体への要求も高まっています。しかし残念ながらこれら物質を免疫原として動物に投与するという従来の方法では、抗体を作製するには難しいのが現状でした。そこでアブカムは、ファージ・ライブラリーとファージディスプレイ技術を用い、動物を使用せずにin vitro でモノクローナル抗体を作製する AxioMx 社の技術を導入しました。アブカムの抗体製品のラインアップはこれまでも世界トップレベルでしたが、今後はさらに充実させることが可能となりました。


in vitro ファージディスプレイ技術によるリコンビナント・モノクローナル抗体の作製

この方法では、1010 種類以上の遺伝子を含むバクテリオファージ粒子から成る巨大なライブラリーを利用します。1 つのファージ粒子(1 クローン)は、そのクローン固有の相補性決定領域(Complementary determining region; CDR)遺伝子配列を含みます。CDR はイムノグロブリン可変部位の一部であり、特異的に抗原に結合する領域です。そのライブラリーからスクリーニングを行い、リコンビナント・モノクローナル抗体を作製する手順は次の通りです。

  1. 抗原(低分子化合物やタンパク質などのターゲット物質)を ELISA プレートやビーズ上に固相化し、ファージ・ライブラリーとインキュベーションする。
  2. プレート、ビーズを洗浄し、結合しなかったファージを除く。
  3. 酸などにより抗原と特異的に結合したファージを溶出し、バクテリアへ導入する。
  4. 上記工程をさらに 2 回以上繰り返し、抗原と特異的にかつ強力に結合するファージのみを選択する。
  5. 抗原との結合性や特異性の評価は、ELISA などで行う。
  6. 抗原と特異的に結合するクローンが単離されたら、その遺伝子をバクテリアや哺乳動物細胞など、イムノグロブリン(抗体)タンパク質の発現系に組み込む。
  7. その系で産生されたリコンビナント・モノクローナル抗体を、ウエスタン・ブロッティング、免疫蛍光染色、フローサイトメトリー、免疫組織染色などで評価を行う。



AxioMx 社の抗体作製技術に関する参考文献



登録