Parkinson's disease

アブカムはマイケル・J・フォックス研究財団(MJFF)と共同で、パーキンソン病の研究に有望なターゲットを対象としたウサギ・モノクローナル抗体を開発しました。


研究には、それに見合う強力なツールが必要です。パーキンソン病などの疾患の発症経路を解明する上で必要とされる強力なツールのひとつとして、重要ターゲットに確実に結合する抗体があります。しかしながら残念なことに、既存の抗体の多くは品質管理データが十分に備わっていない、入手が困難である、ライセンス契約が複雑であるといった問題から使用が限定されています。


私たちは、パーキンソン病研究コミュニティがこのような様々な関門を突破するための支援をしたいと考えております。そこで、アブカムはMJF財団と共同で抗体を作成し、学術界および非営利団体のみならず産業界でもこれらの抗体を幅広く利用して頂くことにより、パーキンソン病患者に対する治療法の研究開発を後押しさせていただきます。


MJF財団とアブカムの共同事業の一環として、50を超えるパーキンソン病研究用の製品を製造しています。このうち24製品が、品質と価格の両面で業界最先端の抗体であるRabMAb® ウサギ・モノクローナルです。これらの抗体製品のうち、RabMAb®ウサギ・モノクローナルは、パーキンソン病の4つの重要ターゲット群であるLRRK2、SNCA、DJ-1、RAB 8およびRAB 10を対象としています。皆様の研究をさらに進展させるために、パーキンソン病、MJF財団とアブカムの共同事業、そして私たちが開発した各抗体についての詳細をぜひご覧ください。


パーキンソン病の治療: 現状と今後の展望


バーカー教授は新たな傾向と治療法を探る上でその前提となる 2019年現在における研究の軌跡とパーキンソン病解明の歩みについて説明しています。

教授は新たな傾向として、α-シヌクレインの役割およびドラッグ・リパーパシング、GDNF治験などで行われているドーパミン細胞への「成長促進剤」導入、​幹細胞由来ドーパミン置換、ならびに遺伝子治療などの研究領域でα-シヌクレインが​ますます注目を集める理由について言及しています。

パーキンソン病研究に有用な抗体

現時点で解明されているパーキンソン病の原因


パーキンソン病の大部分の症例は散発的であり、遺伝的要素を有する症例は10%未満​です5。 パーキンソン病発症の要因として、酸化ストレス、異常タンパク質の凝集および分解などが挙げられます。


遺伝的特質

6つの遺伝子(SNCALRRK2PRKNDJ1PINK1およびATP 13A2)の変異がパーキンソン病発症の一因であることが明らかとなっています6,7。3つの遺伝子(MAPTLRRK2​SNCA)の多型およびGBA​​の変異による機能喪失も危険因子です6


タンパク質のミスフォールディングと凝集

α-シヌクレインの凝集およびミスフォールディングは、パーキンソン病の発症に関わっていると考えられています8。α-シヌクレインがミスフォールディングされると、ユビキチン・プロテアソーム・システム(UPS)やオートファジー・リソソーム・パスウェイ(ALP)といった、タンパク質の細胞内品質管理システム(protein caretaking systems)の機能障害が起こります。これらが正常に機能しないと、フィードバック・ループによりα-シヌクレインが蓄積し、UPSまたはALPの機能がさらに抑制され、神経細胞死を引き起こします9,10,11

ALPが正常に機能しドーパミン作動性ニューロンが完全な状態で長期間生存するには、転写因子Lmx1bが必須であることが明らかとなっています12,13


酸化ストレス

パーキンソン病では、ドーパミンの減少が酸化ストレスを引き起こします。ドーパミンは通常、モノアミン酸化酵素(MAO)-Bによって代謝され、過酸化水素が産生されます。通常は、グルタチオンが過剰な過酸化水素を細胞から除去しますが、この機能が働かない場合は、活性酸素種(ROS)の産生につながり、脂質の過酸化反応による細胞傷害カスケード、ひいては細胞死を引き起こす可能性があります。パーキンソン病患者の脳内におけるグルタチオン濃度の低下14は、ドーパミンの代謝回転の亢進(ドーパミン作動性ニューロンに対する代償機序)と相まって、脂質過酸化の亢進および細胞傷害を引き起こします。

また、ドーパミンの自然発生的および酵素的な酸化により、ドーパミンキノンが産生されます。ドーパミンキノンは、ミトコンドリアの機能障害、またα-シヌクレイン、Parkin、DJ-1、UCH-L1など、タンパク質の修飾を引き起こし、こうした機能障害がパーキンソン病の病態生理につながっている可能性があります15,16


ミトコンドリアの機能障害

ミトコンドリアへの過度のダメージは、パーキンソン病の発症につながります。電子伝達系ComplexⅠの活性低下、活性酸素種による脂質膜の過酸化、遺伝子の変異などによりミトコンドリアがダメージを受けると、シトクロムcが放出され、アポトーシスが誘導される可能性があります15,16。例えば、ミトコンドリアに局在するParkinおよびPINK1は、ミトコンドリアの正常な機能と関連しています17。ダメージを受けたミトコンドリアの外膜にはPINK1が蓄積し、機能障害を起こしたミトコンドリアへParkinを補充することでマイトファジーが誘導されます18。機能障害を起こしたミトコンドリアが蓄積すると、若年性パーキンソン病の発症につながる可能性がありま18


神経の炎症反応

ドーパミン作動性ニューロンは、本来、高濃度の活性酸素種を産生するため、酸化ストレス・イベントの連鎖に対する感度が高くなります。ドーパミン作動性ニューロンの減少は、α-シヌクレイン、Parkin、LRRK2や DJ-1などのタンパク質によるミクログリアの活性化を通して、慢性的な神経の炎症反応と関連していると考えられています。19,20。過剰にまたは慢性的に活性化したミクログリアは、活性酸素種を放出して21、制御されない様々な炎症反応を引き起こし、自己永続的な神経変性のサイクルを生じさせる可能性があります22

特に、LRRKは、神経の炎症反応の重要な修飾因子であると考えられています23。LRRKは、α-シヌクレインの過剰発現に反応して高度に誘導される一方で、LRRK2ノックアウト・ラットでは、α-シヌクレインの過剰発現に伴う神経炎症反応およびドーパミン作動性ニューロンの変性に対して抵抗性があります24


パーキンソン病研究のためのウサギ・モノクローナル抗体

アブカムはMJF財団と共同で、LRRK2、SNCA、DJ-1、RAB 8およびRAB 10などの重要ターゲットを対象としたパーキンソン病研究用抗体を開発しました。これらは、MJF財団が提供する幅広い研究ツールのごく一部です。

References

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