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マイトファジーやオートファジーなど、いわゆるミトコンドリアのダイナミクス」 を図示したポスターです。PDF 版(1.4 MB)のダウンロードはこちらからどうぞ。印刷版(ポスター)をご希望の方は、お名前、所属、送付先、電話番号、ご利用販売店をご明記の上、メールでご請求ください。
キーワード:TIM22、TIM23、Mitofusin1、Mitofusin2、Opa1、Fis1、PINK1、PARL、VDAC1、LC3、Atg4B、Atg7、Atg12、Atg5、Atg16L
ミトコンドリアを構成するタンパク質には、核内 DNA にコードされているものと、ミトコンドリア内 DNA にコードされているものがあります。うち核内 DNA にコードされているタンパク質は、細胞質で合成された後、ミトコンドリア外膜と内膜を通過してミトコンドリア内部に輸送されなければなりません。このようなタンパク質は、N 末端にプレ配列が付加された前駆体として合成されます。
前駆体がミトコンドリア内膜および外膜を通過するに当たっては、Tom 複合体(ミトコンドリア外膜トランスロケーター複合体)や Tim 複合体(ミトコンドリア内膜トランスロケーター複合体)が重要な働きを行います。Tom 複合体や Tim 複合体は、分子量および機能およびの違いにより、Tom40、Tom70、Tim22、Tim23 などに分類されます。
ミトコンドリア DNA にコードされているミトコンドリア・タンパク質は、核内 DNA にコードされているものと比較すると、その種類は少数です。それらのタンパク質の輸送には、リボソームと結合した Oxa1、Mdm38、Mba1 などが関与しています。
Figure 1. ミトコンドリア内部へのタンパク質輸送
ミトコンドリアは分裂と融合を頻繁に繰り返します。融合が活性化すると長くつながった構造が形成され、逆に分裂が活性化すると小さな断片化した形状が増えるなど、ミトコンドリアの形態をダイナミックに変化させます。
ミトコンドリアの融合は、3 種類の GTPase、Mfn1、Mfn2、および Opa1 の働きにより引き起こされます。Mitofusion タンパク質である Mfn1 および Mfn2 はミトコンドリア外膜の膜融合に、Opa1 はミトコンドリア内膜の膜融合に関わっているとされています。一方ミトコンドリアの分裂は、ミトコンドリア外膜タンパク質 Fis1 と、GTPase である DRP1 の働きにより引き起こされます。
Figure 2. ミトコンドリアの融合と分裂
ミトコンドリアは生命活動のためのエネルギーを供給しますが、その過程で損傷を受けると、活性酸素種やチトクロム C を産生・放出し、アポトーシスを誘導し、細胞にとって危険な存在になり得ます。そのため細胞には、損傷を受けたミトコンドリアを選択的に除去する、マイトファジーという機構が存在します。
マイトファジーは、ミトコンドリアが損傷を受けたときに起こる膜電位の脱分極などをシグナルとしてスタートすることが知られています。脱分極が起こると、細胞質内の PINK1(PTEN induced putative kinase 1)がミトコンドリア外膜に集積します。
健康なミトコンドリアにおいて PINK1 は、ミトコンドリア内膜に輸送された後、内膜に局在する Rhomboid 様タンパク質 PARL によって 52 kDa のフォームに断片化され、この断片はプロテアソーム依存性のパスウェイで迅速に分解されます。
一方脱分極が起きたミトコンドリアでは、PINK1 のミトコンドリア内膜への輸送および PARL による分解が阻害され、断片化されなかった全長 PINK1 がミトコンドリア外膜のサイトゾル面に集積します。さらにそこに集積したタンパク質 Parkin によって、マイトファジーが引き起こされます。
Parkin はユビキチン・リガーゼ活性を有し、MARF(mitofusin mitochondrial assembly regulatory factor)、VDAC1(voltage dependent anion-selective channel protein 1)、Mfn1、Mfn2、などミトコンドリア中のさまざまなタンパク質をユビキチン化します。
また Parkin は、ユビキチン結合型アダプター p62(Sequestosome 1)を集積させます。p62 は他の p62 分子、および Parkin によってユビキチン化されたタンパク質と結合して凝集し、これらをオートファゴソーム内へと誘導して代謝させます。
Figure 3. マイトファジー・パスウェイ