ケージド神経伝達物質

狙い通りの放出が可能なアブカムのケージド神経伝達物質を利用し、神経回路の研究にスポットライトを。

ケージド化合物とは?

ケージド化合物(Caged compounds)は、生理活性物質に光分解性の保護基(ケージ)を結合させた化合物で、可視光や赤外光を照射することによって保護基が分解され、その生理活性が発現します。ケージに結合させる生理活性物質としては神経伝達物質、低分子リガンド、セカンド・メッセンジャーなどがあります。

ケージド神経伝達物質(Caged neurotransmitter)は、神経科学分野において有用なツールです。それは神経伝達物質の放出を自在にコントロールでき、効果を発揮させるタイミングと場所、そしてその振幅を人為的に定めることができるからです。ここでは 2 種類のケージド神経伝達物質、RuBi-Glutamate と RuBi-GABA をご紹介します。


RuBi-Glutamate (ab120408)

Rubi-Glutamate は神経伝達物質であるグルタミン酸にルテニウム化合物をベースとしたケージを結合させたケージド化合物です。従来の化合物よりも光照射による活性化・放出が速く、特異性が高いのが特長です。RuBi-Glutamate の活性化には可視光もしくは二光子のレーザーを用います。顕微鏡下で操作することにより、一細胞や樹状突起棘のレベルでも正確に放出させることができます1。詳細はデータシートをご覧ください。

図1. Rubi-Glutamate の構造および C57BL/6 マウス大脳皮質の環状切片を用いた実験結果。(A)Rubi-Glutamate の化学構造と、光照射によるグルタミン酸放出の模式図。(B)Rubi-Glutamate から放出されたグルタミン酸により引き起こされる、効率の良い脱分極。その脱分極の、グルタミン酸受容体のアンタゴニストである AP5(40 µM)と CNQX (20 µM) による阻害。(C)Rubi-Glutamate から放出されたグルタミン酸がグルタミン酸受容体に結合することによる、電流ー電圧(I-V)曲線の変化。+10 mV 付近でプラスマイナスが逆転することが示されている。(図は Fino et al., 2009 を改変)


RuBi-GABA (ab120409)

RuBi-GABA は神経伝達物質である GABA にルテニウム化合物をベースとしたケージを結合させたケージド化合物です。従来の化合物よりも光照射による活性化・放出が速いのが特長です。また可視光の波長で励起されるため、UV によって活性化されるケージド化合物よりも組織透過性に優れ、光照射による細胞のダメージが少ないのも特長で、GABA 受容体のマッピングやニューロン発火のサイレンシング実験に最適です2。詳細はデータシートをご覧ください。

図2. RuBi-GABA の構造およびマウス錐体ニューロンを用いた実験結果。(A)Rubi-GABA の化学構造と、光照射による GABA 放出の模式図。(B)Rubi-GABA から放出された GABA の反応。0、-10、-20、-30、-40、-50、-60 mV の固定電圧下における電流を経時的に測定した。グラフ左下縦棒がレーザーによる光照射を行った点を示す。(C)B の実験における電流-電圧(I-V)曲線。線形近似により、電流が逆転する電圧は -43 mV と推定される。(D)GABA 受容体アンタゴニストである Gabazine による阻害。カリウム・ベースの -40 mV が逆転電位となる内部液中において、-70 mV の固定電圧下で電流を計時的に測定した。グラフ左上縦棒がレーザーによる光照射を行った点を示す。上の線はコントロール、中央の平坦な線は 20 µM Gabazine 添加、下の線は添加後洗浄。スケール・バーは 10 pA と 50 ms。(図は Verde et al., 2008 より改変)


Rubi ケージド化合物製品

グルタミン酸、GABA 以外のケージド化合物としてアブカムには、Dopamine5-HTMK8014APNicotineNitric OxideLuciferin があります。

参考文献

1. Fino E, Araya R, Peterka DS, Salierno M, Etchenique R, Yuste R. RuBi-Glutamate: Two-Photon and Visible-Light Photoactivation of Neurons and Dendritic spines. Front Neural Circuits. 2009 May 27;3:2.

2. Rial Verde EM, Zayat L, Etchenique R, Yuste R. Photorelease of GABA with Visible Light Using an Inorganic Caging Group. Front Neural Circuits. 2008 Aug 13;2:2.




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