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DNA全体を通して、化学修飾はDNA配列内にコード化された遺伝子の発現に一層の制御性を加えます。これらの化学修飾の中で最もよく研究されているのは、安定した遺伝子発現の抑制的なレギュレーターとして知られる、5-メチルシトシン(5mC)です。ヒトゲノムは約1%のメチル化シトシンで構成されており、最も豊富で、広範囲に見られるDNA修飾になります(Moore et al., 2012)。ゲノム全体の5mCをシーケンスする方法はいくつかありますが、このガイドの後半で説明する通り、それらにはすべて長所と短所があります。これらの方法には、全ゲノムバイサルファイトシーケンシング、抗体依存的なDNA免疫沈降(DIP)またはメチル化DNA免疫沈降(MeDIP)などの高分解能アプローチも含まれています。
5mCは、最初にCpGアイランド(CpGジヌクレオチドが豊富な一般的にプロモーター領域内に見られるひと続きのDNA領域)内に存在することが発見されました。5mCが遺伝子転写を抑制する、安定なエピジェネティックなマークとして機能するのはプロモーター領域内になります。哺乳類のゲノム内では、メチル化シトシンは発生の初期段階でデノボメチルトランスフェラーゼであるDNMT3aおよびDNMT3bによってDNAに最初に組み込まれます(Okano et al., 1999)。別のメチルトランスフェラーゼDNMT1によって、これらのメチル化マークのパターンは、DNA複製中に娘鎖へとコピーされ、ゲノム全体で維持されます(Vertino et al., 1996)
近年では5mCが完全に安定なDNA修飾であるという概念は現実味に欠けます。ゲノム全体を通じて多くのメチル化シトシン(特に転写領域内)はDNA脱メチル化と呼ばれるプロセスを経ます。このプロセスにより、最終的には5mCが除去され、未修飾のシトシンに戻ります(C)。 DNA脱メチル化は次の2つのいずれかのプロセスで起きます。一つはパッシブ(受動的)なDNA脱メチル化、つまりメチル化維持酵素の不在により、メチル化シトシンがゲノムから希釈されるプロセスです。もう一つは、10-11転座(TET)酵素により5mCが酸化され5mC酸化誘導体へと変換されるなどのアクティブ(能動的)なDNA脱メチル化です(Wu et al., 2017で概説)。
アクティブDNA脱メチル化は一つのサイクル反応として起こり、5mCから始まり未修飾のCで終わります。5mCは最初に5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)に酸化され、これがさらに5-ホルミルシトシン(5fC)に酸化され、最後にもう一度5-カルボキシルシトシン(5caC)へ酸化されます。 5fCおよび5caCは、チミンDNAグリコシラーゼ(TDG)と塩基除去修復(BER)の組み合わせでDNAから除去することができ、その結果未修飾のCが得られます(図1)。5hmC、5fC、5caCは、最近の多くのエピジェネティック研究の焦点となっています。これらのエピジェネティックなマークは、安定した役割を持つ可能性も含めて、ますます多くのことが明らかになってきています。5hmC、5fC、および5caC抗体を使用したMeDIPのバリエーションや、TETアシストバイサルファイトシーケンシング(TAB-seq)を含むのバイサルファイトシーケンシングのバリエーションなど、ゲノム全体を通してこれらのマークを見分けるための多くのシーケンス手法が開発されています。これらの方法の違いについては、このガイドの後半で説明します。
図1. DNA脱メチル化のサイクル アクティブなDNA脱メチル化は、塩基除去修復(BER)とチミンDNAグリコシラーゼ(TDG)の組み合わせで、パッシブなDNA脱メチル化はまたは5hmC/5fC/5caCの複製依存的希釈によって起こります。アクティブ修飾–パッシブ希釈(AM–PD)。アクティブ修飾–アクティブ除去(AM–AR)。
従来のDNA増幅アプローチでは5mCを検出することはできませんが、これはサンプルの調整や増幅中にマークがはずれるためです。バイサルファイト(亜硫酸水素塩)変換は、DNAメチル化マークを増幅およびダウンストリーム分析に適したテンプレートへと変換するための最も広く使用されるアプローチの1つです。バイサルファイト変換では、NaOHと亜硫酸水素ナトリウムによるDNAの処理を利用し、シトシン塩基をウラシル(U)に変換します。一方でメチル化されたシトシンではこの変換は起こりません(図2)。
PCRやシーケンシングなどのダウンストリーム分析中、バイサルファイト反応で脱アミノ化される非メチル化C塩基はチミン(T)と解釈されますが、5-mC塩基はそのまま、シーケンシング出力ではCとして検出されます。これにより、ゲノム内におけるメチル化シトシンの場所を特定することができます(Frommer et al., 1992)
図2.バイサルファイト変換 バイサルファイトによるDNAの処理(スルホン化)は、シトシン残基の脱アミノ化をもたらし、それらをウラシルに変換します(5-メチルシトシン残基はそのままの状態です)
バイサルファイト変換をもとにしたアプリケーション
バイサルファイト変換は、ハイスループットアプリケーションや、より広範な全ゲノムスケール領域分析のために設計された、いくつか多様性のあるアプリケーションの基盤になっています。
以下は、バイサルファイト変換を基にした手法の例です。
ゲノムワイドなDNAメチル化分析
全ゲノムバイサルファイトシーケンシング(WGBS; Lister et al., 2009)
Reduced representation bisulfite sequencing(RRBS)法 (Meissner et al., 2005)
ターゲットを絞ったDNAメチル化分析
メチル化特異的PCR (MS-PCR; Herman et al., 1996)
パイロシーケンシング (Colella et al., 2003; Tost et al., 2007)
高分解能融解曲線(HRM)分析 (Wojdacz and Dobrovic, 2007)
メチル化感受性一本鎖ヌクレオチドプライマー伸長 (MS-SnuPE; Gonzalgo and Jones PA, 1997),
バイサルファイト変換:テクニカルな考慮事項
不完全な変換 バイサルファイト変換は、比較的簡単に行うことができ、DNAメチル化状態を一塩基の分解能で明確化できるため、非常に強力な方法です。しかし、この方法にはいくつかの欠点があります。不完全な変換(または場合によっては、過剰変換)が、非最適な反応条件により不十分なDNA変性を誘導します。これは反応が完了する前のDNA鎖が再アニーリングしている間に起こる可能性もあります。
5hmCの区別 DNA分解は多くの場合、過酷なバイサルファイト変換反応条件の副産物であり、そのため少量サンプルでの作業は困難なこともあります。反応の脱スルホン化が不十分な場合、PCRで使用されるDNAポリメラーゼを阻害できる残基が残ります。最近のエビデンスは、バイサルファイト変換が5mCと5hmCを区別せず、DNA配列の全体的な複雑さを低減させることが示唆されています。このような配列の複雑さの低減は、その後のPCR用プライマーの設計を複雑にし、シーケンスリードを参照ゲノムにマッピングする際にも様々な障害をもたらす可能性があります。
DNAメチル化の位置をマッピングするために、一般的に使用されるもう一つの方法はDIPです。 DIPは、目的のDNA修飾を認識できる抗体があるかどうかに大きく依存します。ただし、これがあれば、DIPは簡単で効果的な方法です。また、ゲノム全体をシーケンスする必要があるWGBSシーケンシングと比較べて、かなり安価で簡単に解析できます。DIPはIPステップでプルダウンされた、断片化された小さなDNA領域のシーケンシングのみを必要とします。
最も明確な特徴をもつ5mC、5hmC、5fC、5caCのDNA修飾に対して、DIPによる検出が可能です(Pastor et al., 2011、Shen et al., 2013)。 さらにDIPはES細胞、脳組織、ゼブラフィッシュの胚など、さまざまなサンプルで使用されています。この方法はChIPに似ていますが、対象はクロマチンを必要としない、生のゲノムDNAです。このゲノムDNAは約150〜300 bpの断片化を受け、断片化されたDNAに熱変性処理をを加えることも可能です。ご使用の抗体が変性を受けた(オープン)DNA内の修飾にのみアクセス可能な場合、このステップは不可欠です。
DNA変性後、断片化されたDNAは目的の修飾を認識する抗体とともに、(通常は一晩)インキュベートされます。その後、抗体に結合したすべてのDNAをプルダウンし、未結合のDNAを洗い流すよう、IPステップの手順を踏みます。このタイプのIPステップには、磁気ビーズのご使用をお勧めします。DIPを行う場合、サンプルからRNAを除去するために、元のゲノムDNAをRNaseで処理することが重要です。
図3. DIP方法論 ゲノムDNAは断片化され、DNA修飾に対する抗体を使用して免疫沈降を行います。プルダウンDNAおよび入力サンプルはその後qPCR、マイクロアレイ、またはNGSに使用できます。
DIPベースのアプリケーション
ゲノムワイドなDIP分析
DIPシーケンシング (Pastor et al., 2011)
ターゲットを絞ったDIP分析
DIP-PCR (Pastor et al., 2011)
DIP: テクニカルな考慮事項
サンプルの適切な断片化。WGBSとは異なり、DIPは一塩基の分解能を持ちません。 DNAサンプルを断片化する際、DIPシーケンシングの分解能を向上させるために、これらのDNAフラグメントを150〜300 bpの適切なサイズにすることが重要です。フラグメントが大きいと、目的のDNA修飾に隣接していても、抗体が直接認識しないDNAもプルダウンすることになります。その結果として、シーケンシング分析で広範囲に非特異的なピークが生じます。
良い抗体の入手。 DIPのもう1つの問題は、目的の修飾に特異的な抗体が必要であることです。似た修飾を扱う場合、交差反応を最小限に抑えなければなりません(たとえば、5fC抗体が5hmCも認識してしまうと、ゲノム全体の5fCの位置のマッピングには最適ではありません)。このタイプのシーケンシングに抗体を使用することには、多くの利点もあります。唯一、抗体の利用制限によって分析が制限されます。 もしあなたがDNAにおいてこれまでにはっきりと特徴付けられていない修飾、たとえば(一般的にはRNAと関連づけられている)m6Aを調査したい場合、m6Aの特異的抗体があれば、それを行うことができます。
従来のバイサルファイトシーケンシングの最大の欠点は、5 mCの酸化誘導体を区別することができず、5 mCそのものしかプロファイルできないことです。幸い、バイサルファイトシーケンシングには多くのバリエーションがあり、5hmC、5fC、5caCのシーケンシングにおける問題を解決するまったく新しいアプローチがいくつかあります。ここでは、これらの新しい手法のいくつかをさらに詳しく見ていきます。
5hmC マッピング
Tet-assisted bisulfite sequencing(TAB-seq)法 (Yu et al., 2012)
酸化バイサルファイトシーケンシング (oxBS-seq; Booth et al., 2012)
hMe-Seal (Song et al., 2011)
エキソヌクレアーゼによる選択的化学標識 (SCL-exo; Sérandour et al., 2016)
5fC/5caC マッピング
M.SssI methylase-assisted bisulfite sequencing(MAB-seq)法 (Wu et al., 2014)
5fC chemically assisted bisulfite sequencing(fCAB-seq)法 (Song et al., 2013)
5caC chemically assisted bisulfite sequencing(caCAB-seq)法 (Lu et al., 2013)
chemical-labeling-enabled C-to-T conversion sequencing(CLEVER-seq)法 (Zhu et al., 2017)
DNA修飾を検出する最適の方法を考える上で、あなたのニーズに合ったものを選択することが重要です。
一塩基レベルの分解能が必要かどうか、修飾の絶対値を定量化できるようにする必要があるかどうか、自分が使用しているモデルシステムまたはサンプルタイプに適応可能かどうか、などをご検討ください。以下に、5hmC、5fC、5caCのシーケンシングに使用できるいくつかの方法について、主な特徴をまとめた表を示します。
名前 | 説明 | 一塩基分解能か? | 修飾の絶対値の定量は可能か? | 参考文献 |
5hmCマッピングのみ | ||||
5hmC-DIP | 5hmCを濃縮するために5hmC特異的抗体を使用。 | いいえ | いいえ | Pastor, W. A. et al Nature 2011 |
TAB-seq | 5hmCは5gmCに変換され保護されます。 5mCはTET酵素によって5caCに変換されます。バイサルファイト変換後、5hmCはCとして読み取られます。5mCと5caCはTとして読み取られます。 | はい | はい | Yu, M. et al Cell, 2012 |
oxBS-seq | KRuO4を使用した5hmCから5fCへの化学変換により、5mCと5hmCを一塩基レベルで判別できます | はい | はい | Booth, M. J. et al Science, 2012 |
hMe-Seal | アジド含有グルコース分子とビオチンによる5hmCのグルコシル化により、ビオチン/ストレプトアビジンプルダウンを使用した5hmC濃縮が可能になります。 | いいえ | いいえ | Song, C. X. et al. Nature Biotechnology 2011 |
SCL-exo | 5hmCのアジド-グルコースグリコシル化とそれに続くビオチン反応により、エンドヌクレアーゼ活性がビオチン-5gmCの直前で停止します。 | はい | いいえ | Sérandour, A. A. et al. Genome Biology 2016 |
5fC と 5caCマッピング | ||||
5fC/5caC DIP | 5fCおよび5caC特異的抗体を使用してこれらのマークを濃縮します。 | いいえ | いいえ | Shen, L. et al. Cell 2013 |
MAB-seq | DNAのM.SssI処理により、すべてのCが5mCに変換されます。次に、バイサルファイト変換により、すべてのC、5mC、5hmCがCとして読み取られます。5fCと5caCはすべてTとして読み取られます。 | はい | はい | Wu, H., Nature Biotechnology 2014 |
fCAB-seq | EtONH2は、ゲノム内のすべての5fCを、バイサルファイト処理後の酸化から保護します。 | はい | はい | Song, X. et al. Cell 2013 |
caCAB-seq | EDCは、5caCへのアミド結合の形成を触媒して、バイサルファイト変換時の5caCの脱アミノ化を防止するために使用されます。 | はい | はい | Lu, X. et al. JACS 2013 |
CLEVER-seq | マロノニトリルは5fCを選択的にラベル化し、5fC-M付加物を作成します。これは、シーケンスでTとして読み取られます。 | はい | はい | Zhu, C. et al. Cell Stem Cell 2017 |
表1:DNA修飾シーケンシング手法一覧
LC-MS / MSを利用できる場合は、これが全ゲノムDNA内のDNA修飾の量を定量化する最良の方法です(Le et al., 2011およびFernandez et al., 2018)。 LC-MS / MSは、絶対定量法を使用して、あらゆる生物および細胞タイプの全DNAに含まれるすべてのDNA修飾を並列的に定量することができます(Zhang et al., 2012)。絶対定量の場合、サンプルを測定するための標準物質として使用できる同位体標準物質が限られています。
この手法をDIP(DIP-MS)と組み合わせて使用すると、DNA修飾抗体が目的の修飾に結合しているかどうかを判断でき、また、他の非特異的修飾に結合しているかどうかも確認できます。DIP入力サンプルとプルダウンサンプルのLC-MS / MSデータを生成すると、入力サンプルと比べて、プルダウンサンプルでは目的の修飾が濃縮されていることがわかるはずです。さらに同じデータを用いて他の修飾を確認し、非特異的抗体結合の有無をテストするために、他の修飾がサンプル中に濃縮されていないかどうかを確認することもできます。現在、このような解析に役立つソフトウェアの開発が進んでいます。
LC‐MS/MS:テクニカルな考慮事項
技術的に難しい。 MS機器は高価で非常に高い専門性が必要です。機械自体が膨大なメンテナンスを必要とし、多くの場合、独自の技術者による管理を要します。機械の操作は複雑で、特別なトレーニングが必要なため、このタイプのMSデータを自身で取得することは難しいかもしれません。ご自身でLC-MS/MS機器を購入することが現実的でない場合は、共同研究または有料サービスを通じてMSデータを取得することを検討してみてください。
DNA修飾に対してIHC / ICCを行うことも可能です。これは、通常のIHC / ICCプロトコルにいくつかの簡単なステップを加えるだけで行うことができます。考慮しなければいけない最も大きな違いは、修飾が二本鎖DNA内にある場合、DNA修飾に対する抗体がアクセスできず結合できない可能性があることです。従って、DNAを変性させて一本鎖にし、抗体がアクセスできるようにする必要があります。
最も一般的なDNA変性の方法は、サンプルを酸で処理することです。これは通常、4N塩酸(HCL)を直接IHC / ICCスライドに添加して行います(Yamaguchi et al., 2013 および Kaefer et al., 2016)。このステップを行うのに最適なタイミングは、一次抗体を反応させる前です。細胞や組織を界面活性剤(PBS 0.1%Tritonなど)で透過処理した後、洗浄して、DNA鎖を変性するため4N HClを加えることができます。ステップが完了したら酸を完全に洗い流し、酸をアルカリ(例えば100 µM NaOH in PBS)で中和することが重要です。酸を洗浄して中和した後、通常のIHC / ICCステップに進み、一次抗体を添加することができます。
DNA修飾を調べるためにIHC / ICCを実行する場合、抗体がRNA上の非常に類似した修飾(例:DNA上の5mCとRNA上のm5C)を認識する可能性があることにも注意する必要があります。この問題を回避するには、サンプルをRNaseで処理して、存在するすべてのRNAを除去することで対応可能です。繰り返しになりますが、サンプルをRNaseに長時間放置していると、DNAに損傷を与える可能性があるため、このステップは最適化しておく必要があります。
DNA修飾IHC / ICC:テクニカルな考慮事項
酸処理の時間を設定する。
二重染色 IHC / ICC
適切なDNA染色の選択
5mCとその酸化誘導体は、DNA脱メチル化後の遺伝子サイレンシングと遺伝子発現の促進に重要な役割を果たします。現在までに、これらのDNA修飾のいくつかは、タンパク質を特定のDNAサイトに誘導するマーカーとして作用し、遺伝子発現を変化させ、エピジェネティックマークとして機能することがわかっています。 MBD3とメチルCpG結合タンパク質2(MECP2)はどちらも、5mCに加えて5hmCにも結合することが示されています。 一度5hmCに結合すると、DNAのアクセシビリティや転写の活性化において役割を果たします(Yildirim et al., 2011およびMellénet al., 2012)。
DNA修飾に結合する物(バインダー)をスクリーニングする一般的な方法として、プルダウン手法の後に、MSを利用してプルダウンされたタンパク質をスクリーニングする方法があります。この方法使用することで、5mC、5hmC、5fCのバインダーの発見に成功しています(Iurlaro et al., 2013およびSprujit et al., 2013)。この実験では、目的の修飾を含む合成DNAベイト、およびコントロールとして機能する、他の修飾や未修飾シトシンを含むベイトを作成する必要があります。このDNAベイトは、ストレプトアビジン結合磁気ビーズでプルダウンできるように、片方の末端をビオチン分子とリンクさせておく必要があります。次に、目的サンプルからのタンパク質抽出物をテザリングされたベイトに加え、いくつかの洗浄工程を経て洗い流し、非特異的に結合したタンパク質を除去します。その後、残ったタンパク質を溶出し、MS分析を行って、バインダーを同定することができます。
MBD:テクニカルな考慮事項
DNA配列
修飾の数
洗浄
世の中には、未だ発見されていない新規のDNA修飾が存在しているかもしれません。元々はRNA修飾であると考えられていた修飾が、DNA内にも存在する可能性が示唆された例もいくつかあります。1つの良い例は、RNA内ではm6A、DNA内では6mAとして知られるN6-アデニンメチル化です。この修飾は最も有名で、頻繁に見られるRNA修飾の1つですが、現在はDNA内にも存在することが知られています。これを示した最初の研究の1つは、2016年のJohn Gurdon研究室によるものです(Koziol et al., 2016)。彼らは、6mAに対する抗体を使用してDIP-seqを行ったことより、6mAがアフリカツメガエル、マウス、およびヒトゲノム内に存在することを示しました。
この研究以来、ゼブラフィッシュDNAとブタゲノム内(Liu et al., 2016)、環境ストレス後のマウス脳内(Yao et al., 2017)、そしてシロイヌナズナのゲノム内にも6mAが存在するということがいくつかの研究により示されています(Liang et al., 2018)。 2018年の1つの研究は、さらに一歩踏み出し、6mAのメチル化と脱メチル化にそれぞれ関与する酵素N6AMT1とALKBH1を明らかにしました(Xiao et al., 2018)。 DNA修飾を積極的に付加および除去する酵素の存在は、そこに存在する意義があり、潜在的にエピジェネティックな機能があることを示唆しています。
新規DNA修飾:テクニカルな考慮事項
抗体の利用しやすさ
参考文献
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