クロマチンの構造と機能

クロマチンの基本的な単位であるヌクレオソームは、4 種類 8 個のヒストンの周囲を、147 対の DNA 塩基が巻き付いた構造をしています。


クロマチン Chromatin の機能は、DNA の配列と構成を保持しながら効率的に核に詰め込むことです。詰め込みながらもクロマチンには、染色体の断裂を防ぎ、遺伝子発現を制御し、有糸分裂と減数分裂を行うことが求められます。

DNA wraps around the histone proteins to form nucleosomes

図 1. クロマチンの形成。DNA はヒストン・タンパク質 Histone protein に巻きついてヌクレオソーム nucleosome 形成します。次いで、対になって線維状に圧縮された構造をとります。1) ヒストンと会合していない DNA。2) ヒストン 8 量体 Histone octamer に巻きつく DNA。3) クウロマチン線維 chromatin fiber。


クロマチンのうちヘテロクロマチン Heterochromatin は、テロメア Telomere やセントロメア Centromere 周辺に存在する、反復シークエンスを豊富に含む領域で、クロマチンが凝集された構造をとり、そこに含まれる DNA はその遺伝子転写が不活化されています。一方ユークロマチン Euchromatin はクロマチンの凝集の密度が低く、そこに含まれる遺伝子の転写活性は高くなっています。

ヒストンなどクロマチンを構成するタンパク質や、転写因子(transcription factor)や DNA 修復機構関連因子のように DNA と相互作用するタンパク質、クロマチン関連因子は、クロマチンの構造に影響を与え、またその構造の影響を受けます。クロマチン再構成複合体 Chromatin remodeling comlex もクロマチン関連因子の一つで、ヒストンのアミノ酸残基を修飾することにより、ヒストンと DNA の会合状態を変化させ、転写活性を活性化あるいは不活化させます。

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クロマチン関連因子の解析

ヘテロクロマチンは凝集した構造をとっており、また反復 DNA 配列を多く含むため、各種解析は簡単ではありません。一方ユークロマチンはクロマチン免疫沈降 Chromatin immunoprecipitation(ChIP)などの手法によって、転写因子などのクロマチン関連因子・目的タンパク質との相互作用を解析することができます。

図 2. ChIP 操作の概略 1) グルタルアルデヒドなどによる DNA と目的タンパク質の化学的架橋(行わないこともある)。 2) 超音波処理あるいは酵素処理によるクロマチンの断片化。 3) 目的タンパク質に対する抗体を用いた免疫沈降。 4) 架橋の切断(必要な場合)および DNA の精製。 5) qPCR、ChIP-seq、ChIP-Chip など。



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目的タンパク質と会合する DNA の配列や量は、ChIP を行った後にエンドポイント PCR や定量的 PCR(qPCR)を行うことによって調べます(図 3)。

Chip performed on hela cells

図 3. HeLa 細胞をサンプルとし、ChIP Kit - One Step(ab117138)および Anti-Histone H3 (tri methyl K4) 抗体 - ChIP Grade(ab8580)を使用して ChIP を行った。「Blank」は抗体を添加しなかった場合。免疫沈降後生成された DNA は、RT-PCR で定量した。プライマーとプローブは転写領域の最初に位置している。


マイクロアレイを用いた ChIP-chip や、次世代シークエンシング技術を組み合わせた ChIP-seq(図 4)などにより現在では、各種クロマチン関連因子が関与する配列の全ゲノムにおける分布を調べることが可能となっています。

ChIPseq results

図 4. Anti-Histone H3 (tri methyl K4) 抗体 - ChIP Grade(ab8580)を用いた ChIP-seq により、正常細胞とがん細胞を比較した。プロファイルのスナップショットは IGV で作成され、Broad Institute から提供された。


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