アミロイドβ (Aβ)
アミロイドβ (Aβまたはβアミロイド) は、アミロイド前駆体タンパク質 (APP) がβ-およびγ-セクレターゼによって切断された後に形成されるタンパク質ペプチドであり、アルツハイマー病の発症機序に関与していると考えられています。βアミロイド斑 として知られるタンパク質の細胞外沈着物（プラーク）が脳内に形成されることが、アルツハイマー病の顕著な特徴です。単量体のAβが自発的に凝集することで水溶性のAβ オリゴマー形成され、さらに、これらが集合し不溶性の原線維が形成することで、プラークが発生します1,2 。
Aβペプチドの大部分は40残基長 (Aβ1～40) であり、42残基長 (Aβ1～42) のものはわずかです。Aβ1‐42は余分な2つのアミノ酸残基が残っており、後に凝集する傾向があるため、より神経毒性が高いと考えられています3。血漿中Aβ1‐42濃度の上昇はアルツハイマー病の発症と相関関係があることが報告されています4。
アプリケーション
アブカムのアミロイドβ抗体、キット、タンパク質シリーズは、ウェスタンブロット（英語）、免疫組織化学（英語）、免疫細胞化学、フローサイトメトリー（英語）、クロマチン免疫沈降 (ChIP)（英語）、ELISA、免疫沈降（英語）など、様々なアプリケーションにおいて使用可能であることが確認されています。
 | ヒト脳内アルツハイマー病変（ホルマリン固定パラフィン包埋組織切片*）におけるアミロイドβ1‐42の免疫染色（IHC）。Leica Bond™システムで標準プロトコールFにより実施。切片をクエン酸ナトリウム緩衝液 (pH 6、エピトープ露出溶液1) を用い、20分間の熱処理により抗原賦活化後、切片を、1 μg/mLの抗アミロイドβ1-42抗体（ab201060）と室温で15分間反応させ、HRP標識ポリマー法を用いて検出した。染色色素原としてDABを使用し、その後、切片をヘマトキシリンで対比染色、DPXで封入した。 その他のIHC染色（自動・非自動）においては、抗原露出条件、一次抗体濃度、抗体反応時間などのパラメータを最適化する必要があります。 * NIHR Cambridge Biomedical Research Centre が助成する Human Research Tissue Bank から組織を入手しております。 |
| 免疫染色像 (ホルマリン/PFA固定パラフィン包埋切片)－抗アミロイドβ1-42抗体 [mOC64]－構造特異的抗体 (ab201060) |
アミロイドβ研究用推奨製品
| 抗アミロイドβ抗体 | アプリケーション | 交差種 |
| リコンビナント 抗アミロイドβ 1-42抗体 [mOC64] (ab201060) | IHC-FrFl, WB, Dot blot, IHC-P, IHC-FoFr | マウス、ヒト |
| リコンビナント 抗アミロイドβ 1-42抗体 [mOC23]－構造特異的抗体 (ab205340) | IHC-P, Dot blot | ヒト |
| リコンビナント 抗vascular Amyloid 1-42抗体 [mOC31]－構造特異的抗体 (ab201059) | Dot blot, IHC-P, IHC-FoFr, IHC-FrFl | マウス、ヒト |
| リコンビナント 抗アミロイドβ 1-42抗体 [mOC98]－構造特異的抗体 (ab201061) | IHC-P, Dot blot, IHC-FoFr, WB | マウス、ヒト |
| リコンビナント 抗アミロイドβ 1-40抗体 [EP1876Y] (ab76317) | WB | ヒト |
| リコンビナント 抗アミロイドβ 1-42抗体 [EPR9296] (ab180956) | WB, ELISA | ヒト |
| リコンビナント 抗アミロイドβ 1-38抗体 [EPR1878(2)] (ab108253) | WB, ELISA | ヒト |
| 抗アミロイドβ抗体：コンジュゲート | アプリケーション | 交差種 |
| 抗アミロイドβ抗体 [DE2B4] (HRP) (ab187908) | ICC/IF, IHC-P, IP | ヒト |
| リコンビナント 抗アミロイドβ 1-42抗体 [mOC64] (Alexa Fluor® 488) (ab224026) | IHC-Fr | ヒト |
| リコンビナント 抗アミロイドβ 1-42抗体 [mOC64] (Alexa Fluor® 647) (ab224025) | IHC-Fr | ヒト |
| アミロイドβ・サンプルパネル | ||
| 構造特異的 抗アミロイドβ抗体サンプルパネル(ab218719) | ||
| アミロイドβ ELISAとアッセイキット | 検出範囲 | 検出法 |
| ヒト アミロイドβ1-40 ELISA Kit (ab193692) | 0.1 ng/ml - 100 ng/ml | 比色分析 |
| アミロイドβタンパク質 | アプリケーション | |
| リコンビナント ヒト アミロイドβ1-42タンパク質 (ab82795) | SDS-PAGE | |
| リコンビナント ヒト アミロイドβ1-40タンパク質 (ab82797) | SDS-PAGE |
参考文献
- Hardy JA, Higgins GA. Alzheimer's disease: the amyloid cascade hypothesis. Science. 1992 Apr 10;256(5054):184-5
- DeTure MA, Dickson DW. The neuropathological diagnosis of Alzheimer’s disease. Molecular Neurodegeneration 14, Article number: 32 (2019)
- Ahmed, M. et al. Structural conversion of neurotoxic amyloid-Β 1-42 oligomers to fibrils. Nat. Struct. Mol. Biol. 17:561–567 (2010). doi:10.1038/nsmb.1799
- Mayeux, R. et al. Plasma amyloid β-peptide 1-42 and incipient Alzheimer’s disease. Ann. Neurol. 46, 412–416 (1999). doi:10.1002/1531-8249(199909)46:3<412:AID-ANA19>3.0.CO;2-A