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393 アミノ酸からなる p53 タンパク質は、N 末端側から、2 つの転写活性化ドメイン(Transactivation domain; TADI および TADII)、核外搬出シグナル(Nuclear export signal; NES)、プロリンリッチ・ドメイン(Proline rich domain; PD)、DNA 結合ドメイン(DNA binding domain; DBD)、四量体形成ドメイン(Oligomerization domain; OD)、3つの核移行シグナル(Nuclear localization signal; NLS)、もう一つの NES、そしてリジンリッチ調節ドメイン(Lysine rich regulatory domain; RD)から構成されています(Figure 1)。
Figure 1 p53 タンパク質のドメイン構造
TADI(アミノ酸残基 1-42)およびTADII(43-62)は、その名の通り転写因子としての p53 の機能を調節する領域です。ここはまた p53 に対する負の調節因子 MDM2 の結合部位でもあります。
PD(63-97)の機能の詳細は明らかになってはいませんが、この領域を欠失した p53 はアポトーシスを誘導できないことから、がんの抑制に重要であると考えられます。また、この領域の配列が種を超えて保存されていることも、それを裏付けています。
全配列の 3 分の 1 ほどを占める DBD(102-292)も、p53 の機能において重要であると考えられます。転写因子としての機能は、DNA のプロモーター領域に結合することが必須であるからです。また PD 同様その配列が種を超えて保存されていることと、がんで認められる p53 の変異の多くがこの領域で認められることも、それを裏付けています。
OD(323-356)は p53 の四量体形成を担っている領域です。p53 が機能を発現するためには、四量体を形成することが必須です。
C 末端側に存在する NLS や NFC は、核孔複合体への選択的な通過など、p53 の移動に必要な領域です1,2。
p53 およびそのファミリータンパク質である p63 および p73 には複数のアイソフォームが知られています。それらは、異なるプロモーターによる転写促進、選択的スプライシング、翻訳開始部位の違いなどによって産生されますが、その機能的意義は不明です。
p53 の活性は主に翻訳後修飾によって制御されていますが、アイソフォームの相互作用によっても制御されていると考えられます。異なるアイソフォームが特定のストレスに対して固有の応答を生じ、がんの発生に影響を及ぼす可能性があります。例えば N 末端を欠損したアイソフォーム p44 の発現と膀胱癌、p53 アイソフォームの可変発現と乳癌、それぞれに強い相関関係があることが見出されています3。