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細胞増殖研究ガイド-DNA 合成

チミジン・アナログを用いた DNA 合成の検出

増殖細胞を検出するために最も確実な方法は、細胞の DNA 合成を検出することです。それには、DNA 合成が行なわれる際に DNA に取り込まれる(細胞・DNA をラベルする)、チミジン・アナログ(チミジン類似物質)などのプローブを細胞と共に培養し、取り込まれたプローブを検出する方法があります。

プローブとして最も広く用いられているチミジン・アナログは、5-ブロモ-2'-デオキシウリジン(5-bromo-2'-deoxyuridine; BrdU)です。また、5-ヨード-2'-デオキシウリジン((+)-5-Iodo-2'-deoxyuridine; IdU)、5-クロロ-2'-デオキシウリジン(5-Chloro-2'-deoxyuridine; CldU)、5-エチニル-2'-デオキシウリジン(5-Ethynyl-2'-deoxyuridine; EdU)といった化合物も使用されます。このようなチミジン・アナログは DNA 合成を行なう細胞に効率よく取り込まれますが、DNA へのダメージ、細胞の変異、細胞周期への影響などが起こることがありますので注意が必要です1,2

チミジン・アナログの検出は、抗体を用いた方法の他、プローブに標識された蛍光色素や RI などを直接検出する方法もあり、免疫組織染色(IHC)、免疫細胞染色(ICC)、ELISA、フローサイトメトリーなど、さまざまなアプリケーションで行なわれます。また、マルチプレックスに対応しているキットを用いれば、ハイスループットな検出も可能です。検出の特徴には、次の通りです。

  • 得られる結果が正確である。
  • ハイスループット、ロースループットのどちらの方法にも適応が可能である。
  • 比較的時間がかかる。
  • EdU を除き検出には DNA 変性処理が必要なため、他のターゲットとの多重染色には適さない。

  BrdU


  IdU


  CldU


  EdU

BrdU


BrdU を取り込ませた Ramos 細胞株移植組織 FFPE 切片を、BrdU 抗体(ab1893)を用いて免疫組織染色で検出

  • DNA 合成時に取り込まれるチミジン・アナログ
  • 増殖細胞および娘細胞をラベルする
  • BrdU 抗体で検出する
  • G1 期、S 期、G2/M 期それぞれにいる細胞の割合や、細胞周期の動態を検出するのに有用
  • 抗体での検出には DNase、熱、酸などによる DNA 変性処理が必要
  • DNA 変性処理により DNA や他の抗原の構造を壊す場合があり、他のターゲットとの多重染色には適さない

IdU および CldU


IdU を取り込ませたマウス大腸組織の FFPE 切片を、IdU 抗体(ab187742)を用いて免疫組織染色で検出

  • DNA 合成時に取り込まれるチミジン・アナログ
  • 増殖細胞および娘細胞をラベルする
  • 二種類のプローブを同時に用いることで、経時変化の観察が可能
  • DNA 複製フォークの進行速度、安定性、複製起点の点火の研究に有用
  • BrdU 抗体および IdU 抗体で検出する
  • BrdU 抗体の、CldU への交差反応性と IdU に対する交差反応性は抗体の種類によって異なるため、BrdU と多重染色を行なう場合には注意が必要
  • 抗体での検出には DNase、熱、酸などによる DNA 変性処理が必要
  • DNA 変性処理により DNA や他の抗原の構造を壊す場合があり、他のターゲットとの多重染色には適さない

EdU


DNA に取り込まれた BrdU を抗体で検出するには DNA 変性処理が必要だが(左)、DNA に取り込まれた EdU には蛍光色素を直接結合させることが可能(右; クリック・ケミストリー)

  • DNA 合成時に取り込まれるチミジン・アナログ
  • 増殖細胞および娘細胞をラベルする
  • G1 期、S 期、G2/M 期それぞれにいる細胞の割合を検出するのに有用
  • Click chemistry による検出が可能
  • エチニル基に Alexa Fluor® などの蛍光色素を直接標識することができ、膜透過性が高い
  • 変性処理が不要であり、多重染色が可能
  • 抗体による検出とそれに伴う変性処理が必要なく、よりシンプルなプロトコール

おすすめ製品

アナログ抗体キット
  • BrdU Cell Proliferation ELISA Kit - Colorimetric(ab126556
  • BrdU Cell Proliferation ELISA Kit - Chemiluminescent(ab126572
  • In situ BrdU-Red DNA Fragmentation(TUNEL)Assay Kit(ab66110

参考文献

1. Breunig, J. J., Arellano, J. I., Macklis, J. D. & Rakic, P. Everything that Glitters Isn't Gold: A Critical Review of Postnatal Neural Precursor Analyses. Cell Stem Cell 1, 612–627 (2007). PMID: 18371403

2. Anda, S., Boye, E. & Grallert, B. Cell-cycle analyses using thymidine analogues in fission yeast. PLoS One 9, 1–9 (2014). PMID: 24551125

関連リンク


増殖細胞研究ガイド
- 増殖細胞識別ツール

BrdU 免疫組織染色
プロトコール

チミジン・アナログを用いた DNA 合成の検出

増殖細胞を検出するために最も確実な方法は、細胞の DNA 合成を検出することです。それには、DNA 合成が行なわれる際に DNA に取り込まれる(細胞・DNA をラベルする)、チミジン・アナログ(チミジン類似物質)などのプローブを細胞と共に培養し、取り込まれたプローブを検出する方法があります。

プローブとして最も広く用いられているチミジン・アナログは、5-ブロモ-2'-デオキシウリジン(5-bromo-2'-deoxyuridine; BrdU)です。また、5-ヨード-2'-デオキシウリジン((+)-5-Iodo-2'-deoxyuridine; IdU)、5-クロロ-2'-デオキシウリジン(5-Chloro-2'-deoxyuridine; CldU)、5-エチニル-2'-デオキシウリジン(5-Ethynyl-2'-deoxyuridine; EdU)といった化合物も使用されます。このようなチミジン・アナログは DNA 合成を行なう細胞に効率よく取り込まれますが、DNA へのダメージ、細胞の変異、細胞周期への影響などが起こることがありますので注意が必要です1,2

チミジン・アナログの検出は、抗体を用いた方法の他、プローブに標識された蛍光色素や RI などを直接検出する方法もあり、免疫組織染色(IHC)、免疫細胞染色(ICC)、ELISA、フローサイトメトリーなど、さまざまなアプリケーションで行なわれます。また、マルチプレックスに対応しているキットを用いれば、ハイスループットな検出も可能です。検出の特徴には、次の通りです。

  • 得られる結果が正確である。
  • ハイスループット、ロースループットのどちらの方法にも適応が可能である。
  • 比較的時間がかかる。
  • EdU を除き検出には DNA 変性処理が必要なため、他のターゲットとの多重染色には適さない。

  BrdU


  IdU


  CldU


  EdU

BrdU


BrdU を取り込ませた Ramos 細胞株移植組織 FFPE 切片を、BrdU 抗体(ab1893)を用いて免疫組織染色で検出

  • DNA 合成時に取り込まれるチミジン・アナログ
  • 増殖細胞および娘細胞をラベルする
  • BrdU 抗体で検出する
  • G1 期、S 期、G2/M 期それぞれにいる細胞の割合や、細胞周期の動態を検出するのに有用
  • 抗体での検出には DNase、熱、酸などによる DNA 変性処理が必要
  • DNA 変性処理により DNA や他の抗原の構造を壊す場合があり、他のターゲットとの多重染色には適さない

IdU および CldU


IdU を取り込ませたマウス大腸組織の FFPE 切片を、IdU 抗体(ab187742)を用いて免疫組織染色で検出

  • DNA 合成時に取り込まれるチミジン・アナログ
  • 増殖細胞および娘細胞をラベルする
  • 二種類のプローブを同時に用いることで、経時変化の観察が可能
  • DNA 複製フォークの進行速度、安定性、複製起点の点火の研究に有用
  • BrdU 抗体および IdU 抗体で検出する
  • BrdU 抗体の、CldU への交差反応性と IdU に対する交差反応性は抗体の種類によって異なるため、BrdU と多重染色を行なう場合には注意が必要
  • 抗体での検出には DNase、熱、酸などによる DNA 変性処理が必要
  • DNA 変性処理により DNA や他の抗原の構造を壊す場合があり、他のターゲットとの多重染色には適さない

EdU


DNA に取り込まれた BrdU を抗体で検出するには DNA 変性処理が必要だが(左)、DNA に取り込まれた EdU には蛍光色素を直接結合させることが可能(右; クリック・ケミストリー)

  • DNA 合成時に取り込まれるチミジン・アナログ
  • 増殖細胞および娘細胞をラベルする
  • G1 期、S 期、G2/M 期それぞれにいる細胞の割合を検出するのに有用
  • Click chemistry による検出が可能
  • エチニル基に Alexa Fluor® などの蛍光色素を直接標識することができ、膜透過性が高い
  • 変性処理が不要であり、多重染色が可能
  • 抗体による検出とそれに伴う変性処理が必要なく、よりシンプルなプロトコール

おすすめ製品

アナログ抗体キット
  • BrdU Cell Proliferation ELISA Kit - Colorimetric(ab126556
  • BrdU Cell Proliferation ELISA Kit - Chemiluminescent(ab126572
  • In situ BrdU-Red DNA Fragmentation(TUNEL)Assay Kit(ab66110

参考文献

1. Breunig, J. J., Arellano, J. I., Macklis, J. D. & Rakic, P. Everything that Glitters Isn't Gold: A Critical Review of Postnatal Neural Precursor Analyses. Cell Stem Cell 1, 612–627 (2007). PMID: 18371403

2. Anda, S., Boye, E. & Grallert, B. Cell-cycle analyses using thymidine analogues in fission yeast. PLoS One 9, 1–9 (2014). PMID: 24551125

関連リンク


増殖細胞研究ガイド
- 増殖細胞識別ツール

BrdU 免疫組織染色
プロトコール

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