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NO ドナー・ガイド

あなたの実験で最も適切な NO ドナーを選び、矛盾する結果に別れを告げましょう。


NO ドナー(Nitric oxide donor; 一酸化窒素ドナー)には多くの種類があり、その構造、反応性、NO 放出メカニズムはさまざまです。そのため NO ドナーを用いた研究の文献においては、矛盾する結果や混乱を招くような考察がしばしば見うけられるようです。

NO ドナーの多くは、その NO 放出メカニズムが次のつのうちいずれかに当てはまります。

  1. 自発的: 熱や光による自己分解によって自発的に NO が放出される。
  2. 酸化による: 酵素による酸化反応によって NO が放出される。
  3. 化学反応による: 酸、アルカリ、金属、チオールなどによる化学反応によって NO が放出される。



自発的放出

化学的分類

化合物

特徴

Diazeniumdiolate*

DEA NONOate (ab145197)

活性時間が短いため、急速な NO 放出が必要な際に使用。半減期 2 分(pH 7.4、37 oC)。

PAPA NONOate (ab145196)

半減期 15 分(pH 7.4、37 oC)。

Spermine NONOate (ab144522)

半減期 40 分(pH 7.4、37 oC)。

DPTA NONOate (ab145198)

半減期 3 時間(pH 7.4、37 oC)。

DETA NONOate (ab144627)

長い放出時間を必要とする場合に使用。半減期 20 時間(pH 7.4、37 oC)

Syndnonimine

SIN-1 (ab141525)

自発的に NO と活性酸素の両方を産生する。生理条件下での Peroxynitrite および RNOS(Reactive nitrogen oxide species)の研究で使用。

*この NO 放出は、pH と温度に対して感受性がある。



酸化による放出

化学的分類

化合物

特徴

有機硝酸塩

ニトログリセリン(Nitroglycerin) / GTN

狭心症および急性心筋梗塞の治療用に臨床的に使用される血管拡張剤。

無機ニトロソ化合物

Sodium nitroprusside (SNP, ab145732))

臨床的に実証されている血管拡張剤。ただし、シアン化物と遊離鉄も放出する可能性があり1、生物に使用することには問題がある。


化学反応による放出

化学的分類

化合物

特徴

S- ニトロソチオール

SNAP (ab120014)

広く研究で使用されている NO ドナーで、生体内で分解されて NO とジスルフィドを生じる。反応に微量の Cu2+ を必要とする2

S-nitrosoglutathione 
(SNOG, ab120285)

NO ドナーとして働く S- ニトロソ化剤で、臨床的にも用いられる3



実験では上記のようなさまざまな NO ドナーが用いられていますが、化学的特性や生物学的特性を把握しないままで使用することが多いのが実情のようです。

確実な結果と適切な考察を導くために、新たな NO ドナーを使用する際には、NO プローブを使用した予備実験を行ない、NO 放出の特性を確認してください。NO プローブには、Diaminefluorescein(DAF-2, ab145269)をお勧めします。



参考文献

  1. Schroder, H. No nitric oxide for HO-1 from sodium nitroprusside. Mol. Pharmacol. 69, 1507–1509 (2006).

  2. McAninly, J., Williams, D. L. H., Askew, S. C., Butler, A. R. & Russell, C. Metal ion catalysis in nitrosothiol (RSNO) decomposition. J. Chem. Soc. Chem. Commun. 83, 1758 (1993).

  3. Broniowska, K. A., Diers, A. R., & Hogg, N. (2013). S-NITROSOGLUTATHIONE. Biochimica et Biophysica Acta, 1830(5), 3173–3181 (2013).
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