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免疫細胞染色(ICC)/免疫蛍光染色(IF)プロトコール

免疫細胞染色/免疫蛍光染色(ICC/IF)は、細胞中のターゲット・タンパク質を検出する目的で蛍光標識抗体や蛍光色素を利用する技術です。ここでは、Cytospin™ を利用した浮遊細胞の ICC/IF のプロトコールを示します。

このプロトコールはアブカム・アプリにより iPhone や iPad から見ることもできます。アブカム・アプリでは、これ以外の各種プロトコールなどの情報を見ることができる他、実験に役立つツールなどをご利用いただけます。詳しくはこちらをご覧ください。


ビデオ版プロトコール(英語)


準備

  1. カバーガラスの親水性を高めるため、ポリエチレンイミン Polyethylineimine もしくはポリ-L-リジン Poly-L-lysine を、室温で 1 時間コートする。
  2. カバーガラスを滅菌水でリンスする(1 時間 3 回)。
  3. カバーガラスを完全に乾かした後、UV 光の下で少なくとも 4 時間滅菌する。
  4. カバーガラス上で細胞を培養する。あるいは細胞を塗抹または Cytospin™ による固着でサンプルを調製する。
  5. PBS あるいは 0.1 % Tween 20 を含む PBS で軽く洗浄する。

       洗浄液には 1x PBS 0.1% Tween 20 をおすすめします。



固定

細胞の固定は次のいずれかで行ってください。

  1. -20 ℃ に冷やした 100 % メタノール中で、室温で 5 分間、インキュベーションする。
  2. 4 % パラホルムアルデヒドを含む PBS(pH 7.4)中で、室温で 10 分間、インキュベーションする。

氷冷 PBS で細胞を 3 回洗浄する。



抗原賦活化(任意)

免疫組織染色の組織スライド同様、細胞染色のサンプルも、抗原賦活処理を行った方が、よく反応する抗体もあります。データシートや Abreview などでご確認ください。

  1. 抗原賦活化液(100 mM Tris、5 % [w/v] 尿素、pH 9.5)を予め 95 ℃ に温めておく。暖めた溶液を染色ジャーに満たし、それごと 95 ℃ のウォーター・バスに浸す。
  2. 先端が平らなピンセットで、カバーガラスを染色ジャー中の抗原賦活化液中に注意深くセットする。カバーガラスのどちら側に細胞があるかを覚えておくこと。
  3. 95 ℃ で 10 分間インキュベーションする。
  4. カバーガラスを抗原賦活化液中から取り出し、予め PBS で満たしておいた 6 ウェル組織培養用プレートに、細胞がある面を上にして、カバーガラスを浸す。
  5. サンプルを PBS で、5 分間 3 回洗浄する。


透過処理

ターゲット・タンパク質が細胞質内あるいは核内に存在していることが明らかな場合は、細胞の透過処理を行ってください。固定をメタノールで行った場合には、透過処理は必要ありあません。

  1. サンプルを 0.1 ~ 0.25 % Triton X-100(あるいは 100 μM ジギトニン、0.5 % サポニンなど)を含む PBS で、10 分間インキュベーションする。
  2. Triton X-100 は透過処理において最も広く用いられている界面活性剤であるが、ジギトニンやサポニンと比較すると細胞膜へのダメージが大きいため、細胞膜上に存在するターゲットを同時に染色する場合には注意が必要である。このような場合には、Triton X-100 の濃度は実験ごとに検討するのが望ましい。
  3. インキュベーション後、細胞を PBS で、5 分間 3 回洗浄する。


ブロッキングと免疫染色

  1. 抗体の非特異結合をブロックするため、サンプルをブロッキング液(1 % BSA および 22.52 mg/mL グリシンを含む PBST(PBS + 0.1 % Tween 20))で、室温 30 分間インキュベーションする。上記溶液の代わりに、1 % ゼラチンや 10 % 血清(二次抗体のホストと同じ動物種由来)なども使用できる。
  2. サンプルを 1 % BSA を含む PBST で希釈した一次抗体で、室温 1 時間または 4 ℃ 一晩、湿潤箱中でインキュベーションする。
  3. サンプルから抗体溶液を取り除き、PBS で、5 分間 3 回洗浄する。
  4. 1 % BSA を含む PBST で希釈した蛍光標識二次抗体で、室温 1 時間、暗所でインキュベーションする。
  5. サンプルから二次抗体溶液を取り除き、PBS で、5 分間 3 回なるべく暗所で洗浄する。


多重染色(任意)

ひとつのサンプル中で異なる 2 種類以上のターゲットを免疫染色したい場合、多重染色を行います。方法としては、混合した抗体溶液を用いる同時染色法と、それぞれの抗体の染色を続けて行う連続染色法があります。

いずれの方法でも、蛍光標識二次抗体を用いた間接法の場合には、用いる一次抗体はそれぞれ異なる動物種由来でなければなりません(マウス・モノクローナル抗体とウサギ・モノクローナル抗体など)。異なる蛍光色素が直接標識されている複数の一次抗体を用いる場合には、一次抗体のホスト動物種を気にする必要はありません。


同時染色法

  1. サンプルをブロッキング液(1 % BSA および 22.52 mg/mL グリシンを含む PBST(PBS+ 0.1 % Tween 20))で、室温 30 分間インキュベーションする。
  2. サンプルを 1 % BSA を含む PBST で調製した複数の一次抗体を含む溶液で、室温 1 時間または 4 ℃ 一晩、湿潤箱中でインキュベーションする。
  3. サンプルから抗体溶液を取り除き、PBS で、5 分間 3 回洗浄する。
  4. 1 % BSA を含む PBST で調製した複数の蛍光標識二次抗体を含む溶液で、室温 1 時間、暗所でインキュベーションする。
  5. サンプルから二次抗体溶液を取り除き、PBS で、5 分間 3 回なるべく暗所で洗浄する。



​連続染色法

  1. サンプルを第 1 ブロッキング溶液(第 1 二次抗体のホスト動物と同じ動物種由来の血清 10 % を含む PBS)で、室温 30 分間インキュベーションする。
  2. 1 % BSA または 1 % 血清(第 1 二次抗体のホスト動物と同じ動物種由来)入り PBST で希釈した第 1 一次抗体で、室温 1 時間または 4 ℃ 一晩、湿潤箱中でインキュベーションする。
  3. サンプルから第 1 一次抗体溶液を取り除き、PBS で、5 分間 3 回洗浄する。
  4. 1 % BSA を含む PBST で希釈した、第 1 二次抗体で、室温 1 時間、暗所でインキュベーションする。
  5. サンプルから第 1 二次抗体溶液を取り除き、PBS で、5 分間 3 回なるべく暗所で洗浄する。
  6. サンプルを第 2 ブロッキング溶液(第 2 二次抗体のホスト動物と同じ動物種由来の血清 10 % を含む PBS)で、室温 30 分間インキュベーションする。
  7. 1 % BSA または 1 % 血清(第 2 二次抗体のホスト動物と同じ動物種由来)入り PBST で希釈した第 2 一次抗体で、室温 1 時間または 4 ℃ 一晩、湿潤箱中でインキュベーションする。
  8. サンプルから第 2 一次抗体溶液を取り除き、PBS で、5 分間 3 回洗浄する。
  9. 1 % BSA を含む PBST で希釈した、第 2 二次抗体で、室温 1 時間、暗所でインキュベーションする。
  10. サンプルから第 2 二次抗体溶液を取り除き、PBS で、5 分間 3 回なるべく暗所で洗浄する。
  11. 引き続き、第 3 一次抗体を用いて三重染色を行う場合には、第 3 二次抗体として「第 3 一次抗体を認識する蛍光標識二次抗体」、第 3 ブロッキング溶液として「第 3 二次抗体のホスト動物と同じ動物種由来の血清 10 % を含む PBS」、第 3 一次抗体の希釈溶液として「1 % BSA または 1 % 血清(第 3 二次抗体のホスト動物と同じ動物種由来)入り PBST」をそれぞれ用い、上記操作 1 ~ 5 を繰り返す。


核対比染色

  1. サンプルに 0.1~1 μg/mL の Hoechst 核染色剤または DAPI を添加し、1 分間インキュベーションする。
  2. PBS で洗浄する。


封入

  1. サンプルに封入剤を 1 滴滴下し、カバーガラスで封入する。
  2. サンプルが動いてしまうのを防ぐために、カバーガラスを透明なマニキュア液でシールする。
  3. 暗所にて 4 ℃ または -20 ℃ で保存する。