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抗体を用いた実験において、正確でかつ再現性のある結果を得るためには、使用する抗体は、高性能でなくてはなりません。ここで言う「高性能」な抗体とは、確実に目的ターゲットに結合し、そのターゲット以外には結合せず、またその結合はロットが変わっても、常に一定であるような抗体です。抗体が高性能であるかどうかの評価は、アブカムは、抗体の開発中と販売後の両方で実施します。ここではアブカムが行っているその評価のプロセスを、主にウサギ・モノクローナル抗体 RabMAb® を例にとってご紹介します。
ご存知の通り抗体は、あるアプリケーションに使えるからといって、別のアプリケーションにも使えるとは限りません。したがって新たに樹立された抗体の評価は、アプリケーションごとに個別に行わなくてはなりません。ウサギ・モノクローナル抗体 RabMAb® については、ウエスタン・ブロッティング(WB)、免疫組織染色(IHC)、免疫細胞染色/蛍光染色(ICC/IF)、ELISA、といった基本的なアプリケーションについては、原則としてすべて評価試験を行っています。フローサイトメトリー、免疫沈降(IP)、クロマチン免疫沈降(ChIP)などについては、ターゲット・タンパク質の性質やその局在に応じて、評価試験を行っています。
基本的な評価
アブカムは抗体製品の評価試験の合否基準をアプリケーションごとに設け、それぞれに合格したアプリケーションについて、「適用あり」としています。その評価においては、次のようなことを考慮しています。
特異性の評価
抗体が特異的であること、すなわち確実に目的ターゲットに結合するがそのターゲット以外には結合しない、ということを示すことは非常に重要ですが、簡単なことではありません。アブカムはノックアウト(KO)細胞株を用いた評価試験を行なうことで、抗体が特異的であることを示しています。
アブカムは CRISPR/Cas9 により特定の遺伝子がノックアウトされたヒト一倍体細胞株を作製する技術を有する企業、Horizon Discovery 社と提携し、抗体のターゲット・タンパク質の遺伝子をノックアウトした細胞株を数多く作成し、これら細胞をネガティブ・コントロールとして抗体の評価を行っています。この 1 年間で評価試験を行ない、特異性が確認された「KO 評価済」抗体は 500 以上にも上ります。その一方で特異性に嫌疑が生じ、カタログから削除された抗体も 200 以上ありました。このような取り組みは、抗体の品質の水準を科学界全体で高めようとする、アブカムの決意の現れです。
図1. PD-L1 ウサギ・モノクローナル抗体 RabMAb® クローン 28-8(ab205921)の、免疫組織染色による KO 評価試験の結果。ヒト肺腺がん細胞 L2987 において強い染色像が得られたが(左)、PD-L1 遺伝子のエクソン 4 をターゲットとして L2987 から作製されたノックアウト細胞 L2-14 においては、染色は全く認められない(右)。
図2. PD-L1 ウサギ・モノクローナル抗体 RabMAb® クローン 28-8(ab205921)の、フローサイトメトリーによる KO 評価試験の結果。ヒト肺腺がん細胞 L2987 において認められたシグナル(左緑)が、PD-L1 ノックアウト細胞 L2-14 においては認められない(右)。
安定性の評価
抗体の製造ロットが変わった場合でも、同じ実験結果が得られるかどうかも、研究者にとっては大きな問題です。アブカムでは製造ロットごとにテストを行い、それぞれの反応性が変わらないことを確認しています。ロットごとに反応性が異なる可能性があるポリクローナル抗体では特に綿密に評価を行い、評価基準に達しないロットは販売しません。また通常ロットごとの反応性が変わることはないモノクローナル抗体についてももちろん、ロットごとの評価を行っています。
図3. 異なるロットの抗体の反応性。抗体はPD-L1 リコンビナント・ウサギ・モノクローナル抗体 RabMAb® クローン 28-8(ab205921)、細胞は PD-L1 強制発現 CHO。A: ネガティブ・コントロール・ウサギ IgG(5 µg/mL) B: ロット 1(2 µg/mL 以下同)、C: ロット 3、D: ロット 4、E: ロット 5、F ロット 6、G: ロット 7。A 以外はすべて同様の反応性を示した。
最新技術で最高品質の抗体をお届け
前述のように、モノクローナル抗体であればロットごとの反応性の違いはそれほど気にする必要はありません。しかしながらアブカムはさらに、ハイブリドーマから得られた抗体遺伝子をタンパク質の安定発現できる細胞に導入し、モノクローナル抗体を発現・産生させる「リコンビナント・モノクローナル抗体」の技術によって、通常のモノクローナル抗体よりもさらに反応性が安定した抗体の供給を行っています。ウサギ・モノクローナル抗体 RabMAb® においては現在、このリコンビナントによる産生の方が主流となっています。