抗体がターゲット・タンパク質にのみ特異的に反応していることを確認できる、新しい抗体評価試験法ノックアウト検証(KO 検証)においては、CRISPR/Cas9 ゲノム編集システムを用いて作製された遺伝子ノックアウト(KO)細胞株がサンプルとして用いられます。KO 細胞株の元となるのは半数体(haploid)モデル細胞株である HAP1 細胞株で、通常の 2 倍体細胞のような対立遺伝子の影響がないため、効率的に遺伝子ノックアウトの操作を行うことができます(1, 2, 3)。既に 700 種類以上のターゲット・タンパク質以上の KO 細胞株が作製されており、これら細胞株を利用して今後さらに KO 検証を行う抗体の種類を増やしていく予定です。
ノックアウト検証では、ネガティブ・コントロールとして KO 細胞株を用い、ポジティブ・コントロールとして抗体のターゲット・タンパク質が確実に発現していることが明らかで文献で広く使われている細胞株(野生型)を用います。今後ウエスタン・ブロット(WB)を始めとして、免疫細胞染色/蛍光染色(ICC/IF)、免疫組織染色(IHC)、フローサイトメトリーなど、様々な試験系での検証を行っていく予定です。
KO 細胞株を用いた KO 検証の例(蛍光ウエスタン・ブロッティング) レーン 1:HAP1 細胞ライゼート(野生型) レーン 2:HAP1 細胞ライゼート(Cdk4 KO) 緑:抗 Cdk4 ウサギ・モノクローナル抗体 RabMAb® [EPR4513] ab108357(1,000 倍希釈)-検出されたバンド:34 kDa 赤:抗 beta Actin マウス・モノクローナル抗体(ローディング・コントロール)ab8226-検出されたバンド:42 kDa。