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アブカムの抗体性能確認試験


抗体製品は、ウエスタン・ブロッティング(WB)、免疫組織化学染色(IHC)、免疫蛍光細胞染色(ICC)など様々なアプリケーションで、使用すること ができるかどうかが試験され、その結果が「適用」としてデータシートやウェブサイトに記載されています。しかしながら厳密に言うとそれぞれのアプリケー ションによって、その試験のやりやすさなどの特性は異なります。また結果の解釈に注意が必要な場合があります。このようなアプリケーションごとの特性や注意点を理解することで、抗体を用いた実験から得られた結果をより正しく解釈することができると思います。


抗体のアプリケーション試験法の特性と問題点

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アプリケーション

メリット(特性)デメリット(注意点)
ELISA
  • 多数のサンプルを用いてのハイスループットな試験が可能
  • サンプル調製や操作プロトコールが比較的簡単
  • 定量的な解析が可能
  • 抗体がターゲット・タンパク質のみに特異的に反応しているかどうかは断言しにくい
ウエスタン・ブロッティング(WB)
  • ターゲット・タンパク質への特異的な反応性は、分子量を基準として確認できる
  • 変性・未変性の両方の条件での試験が可能

  • ターゲット・タンパク質と類似の分子量を有するタンパク質との非特異反応を区別できない
  • アッセイに時間がかかる
  • バッファー組成などの最適な実験条件を見つけるのが難しい
  • 多くのサンプルを用いてのハイスループットな試験には向かない
  • 定量的な解析には向かない
免疫組織染色(IHC)および免疫細胞染色(ICC)
  • ​ターゲット・タンパク質への特異的な反応性は、細胞内局在を基準として確認できる
  • ターゲット・タンパク質への特異的な反応性は、ターゲット・タンパク質を発現している細胞としていない細胞の反応性を比較することによって確認できる
  • ターゲット・タンパク質と同一の細胞内局在を持ったタンパク質への非特異反応を区別できない
  • どのタイプの細胞または組織が、ターゲット・タンパク質を発現しているかを判断するのが難しいことがある
  • 定量的な解析には向かない
フローサイトメトリー
  • 細胞一つ一つについての情報が得られる

  • 多数のサンプルを用いてのハイスループットな試験が可能

  • サンプル調製や操作プロトコールが比較的簡単
  • シグナルが特異的なものか非特異的なものかを区別しにくい
  • サンプル細胞がターゲット・タンパク質を、そもそも発現しているかいないかを判断するのが難しいことがある
タンパク質アレイ/ペプチド・アレイ
  • ターゲット・タンパク質に特異的に反応しているかを確認できる

  • ハイスループットな試験が可能

  • 翻訳後修飾を受けたタンパク質のスクリーニングは不可能
siRNA ノックダウン
  • ターゲット・タンパク質量が低下しているため、抗体が特異的に反応していることを確認できる
  • WB、IHC、ICC、フローサイトメトリーなど、さまざまなアプリケーションに応用が可能
  • ターゲット・タンパク質発現量の低下は一過的
  • 複数の siRNA 配列が必要となるなど、実験条件の調整が難しい

ノックアウト(KO)細胞株



  • ターゲット・タンパク質が存在しないことが証明されているため、抗体が特異的に反応していることを確認できる
  • ノックアウト細胞株はネガティブ・コントロールとして信頼できる
  • ノックアウト動物に比べ、短期間で作成できる
  • WB、IHC、ICC、フローサイトメトリーなど、さまざまなアプリケーションに応用が可能
  • ノックアウトすることで細胞に致命的な影響を与える遺伝子には適用できない
質量分析(MS)
  • 分解されたタンパク質フラグメントを利用して特異性を確認できる
  • ハイスループットなアッセイ系


  • IP-MS アッセイは条件の最適化が難しい
  • 質量分析計が必須
ノックアウト(KO)マウス
  • ​ターゲット・タンパク質が存在しないことが証明されているため、抗体が特異的に反応していることを確認できる
  • WB、IHC、ICC、フローサイトメトリーなど、さまざまなアプリケーションに応用可能

    最も理想的な性能試験である
  • ノックアウトすることで生体に致命的な影響を与える遺伝子には適用できない
  • ノックアウト・マウスの開発に長期間(12 ヶ月以上)かかることある


抗体を用いる実験を行う際に気をつけること

抗体を用いた実験の条件を検討する際には、その実験(アプリケーション)に適した抗体製品を選択することが重要です。こうした情報はその製品のデータシートやウェブサイトで得ることができますが、さらに以下のような点にも注意してください。

​​1. ポジティブ・コントロールおよびネガティブ・コントロール

使用した抗体の反応が特異的であり、間違いのないものであることを示すためには、ポジティブ・コントロールとネガティブ・コントロールの両方との反応性を確認する必要があります。言うまでもないことですが、ポジティブ・コントロールはターゲット・タンパク質が確実に含まれるサンプル(例えばターゲット・タンパク質が確実に発現している細胞)で、ネガティブ・コントロールはターゲット・タンパク質が含まれないサンプル(例えばターゲット・タンパク質を全く発現していない細胞)です。このようなサンプルや細胞に関する情報は、論文やオンラインのタンパク質データベースなどに豊富にあります。また各抗体製品のデータシートやウェブサイトに記載されている場合もありますのでご確認ください。

抗体によっては、ターゲット・タンパク質が変性を受けることで反応できなくなるものもありますので、それに考慮したサンプルの調製が必要です。例えば、未変性状態のタンパク質のみを認識する抗体を用いてウエスタン・ブロッティングを行う場合の電気泳動は、サンプルを変性させない非変性電気泳動である必要があります。

ウエスタン・ブロッティングのサンプル調製ガイドはこちら

ELISA のサンプル調製ガイドはこちら

2. 性能試験プロトコールの確認

抗体を用いて行う実験において最良の結果を得るためには、温度や反応温度などの実験条件を、性能試験の条件とできるだけ同じにした上で、希釈倍率、ブロッキング条件、還元・非還元などの条件を、それぞれ個別に設定してください。

アプリケーション別のトラブルシューティングはこちら

3. バッファーの選択

抗体を用いた実験におけるバッファーは、PBS か TBS のどちらかであることが多いと思います。アプリケーションによって最適なバッファーが異なりますし、また抗体によっては pH の変化によって反応性が変化するものもありますのでご注意ください。

ウエスタン・ブロッティングのバッファー・プロトコールはこちら

抗体の保存ガイドはこちら

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