Oxidative stress in disease

活性酸素 ROS と代謝・疾患

Oxidative stress (酸化ストレス)

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酸化ストレスは癌、そしてアルツハイマー病、パーキンソン病糖尿病などのさまざまな変性疾患において、重要な役割を担っていることが明らかになっています。

酸化ストレスの主な原因物質の一つである活性酸素種 (ROS) は、主にミトコンドリアで生成されます。細胞に取り込まれる酸素の多くはシトクロム C で消費され、H2O が生成されますが、その過程で ROS も同時に放出されます。また ROS は、呼吸反応連鎖に関わる他の酵素、例えば複合体 I および III によっても、放出されます。放出された ROS は一酸化窒素 NO (→ポスター) に捕捉されると消失しますが、その過程で過酸化亜硝酸 (Peroxynitrite) などのより強い酸化力を有する反応性窒素種が生成されます。生成されたこれら ROS や反応性窒素種は、一部が細胞質中に溶け込みますが、その多くはミトコンドリア内に留まります。

ミトコンドリアに留まった ROS や反応性窒素種は、酸化的リン酸化反応 (OXPHOS) (→カード)の機能不全と強い関係があります。OXPHOS 経路において電子伝達系が滞ると ROS が生成され、結果として細胞質内のタンパク質や DNA が損傷を受けます。これによってミトコンドリア・タンパク質の酸化やニトロ化が引き起こされて OXPHOS の機能不全化が進み、さらなる ROS の生成を引き起こします。


Redox regulation (酸化還元の調節)

  • ニコチンアミド・ヌクレオチド・トランスヒドロゲナーゼ (NNT) はミトコンドリア膜電位をエネルギーとし、NADP+ の還元当量を NADPH へと移します。
  • 還元が進んで NADPH が増加すると、酸化型グルタチオンの還元が進み、H2O2 のH2O への還元反応が進みます。結果としてタンパク質を構成するアミノ酸のチオール/ジスルフィド比率を変え、転写因子や転写酵素を調節し、巨大分子の合成反応を進めます。
  • 細胞質内の NADPH は、ペントースリン酸経路において IDH1 がリンゴ酸をピルビン酸へと変換する際に、生成されます。
  • これらの経路に何らかの変化が生じると ROS 量が増加し、細胞内の代謝反応や増殖に多大な影響を及ぼします。

酸化ストレス研究関連キット

ROS in cancer (癌と ROS)

細胞や組織における ROS の増加は、細胞増殖シグナルの活性化、生理的な細胞死経路の断絶 (細胞の不死化)、血管新生の更新、薬物耐性の獲得といった、癌の典型的な現象につながることが明らかにされています。ROS の急激な増加が酸化還元バランスに変化が生じさせ、ROS ストレスが増加し、がんの悪性化の進行を招くことは、in vitroin vivo のどちらにおいても確認されています。こうした現象は、ROS が DNA、脂質、タンパク質などにダメージを与えるためと考えられています。ROS の急激な増加は、脱プリン塩基 / 脱ピリミジン塩基を生成し、タンパク質を変性させます。

一方、ROS 濃度の穏やかな増加は、生理的な細胞の増殖と分化を誘導します。細胞内の ROS 濃度は、カタラーゼ Catalaseチオレドキシン Thioredoxinグルタチオン・ペルオキシダーゼ Glutathione Peroxidaseグルタレドキシン Glutaredoxin、スーパーオキシド・ジスムターゼ Superoxide dismutase (SOD-1SOD-3 など)、ペルオキシレドキシン といった抗酸化分子を介した ROS 除去機構により制御されています。

Bcr-Ablc-MycRas (→カード) といった腫瘍遺伝子産物の発現は、ROS を増加させることが知られています。例えば H-Ras をトランスフォームした繊維芽細胞株 NIH3T3 は、ROS を産生させる酵素である NADPH オキシダーゼ (NOX4 など) の活性が更新しており、細胞内 ROS 濃度が高くなっています。


細胞内シグナル研究に有用なメンブレン抗体アレイ

癌細胞自身も ROS ストレスの増大にさらされますが、そのストレスに対する順応性もまた高まります。その順応は、NF-kBNrf2c-JunHIF-1 (→カード) といった複数の転写因子の活性化により、カタラーゼ、チオレドキシン、スーパーオキシド・ジスムターゼなどの抗酸化分子の発現が増加することによってもたらされます。これらの転写因子は、Bcl-2 ファミリータンパク質や AKT シグナル伝達 (→カード (PDF)) に関わるタンパク質などの発現も促進し、これが細胞の不死化や、薬剤耐性の亢進につながります。


ミトコンドリア DNA 単離キット

ROS 研究に有用な抗体

製品名交差種適用・
アプリケーション
製品番号
/データシート
Anti-Bcl2 antibody [100/D5] Mouse, Human Flow Cyt, IHC-P, IHC-Fr, IP, WB ab692
Anti-Bcl2A1 antibody Human WB, IP ab75887
Anti-BCL2-XL antibody Mouse, Rat, Human IP, WB, ICC/IF, ICC ab2568
Anti-c Abl (phospho Y412) antibody Human ICC/IF, WB, IHC-P, ELISA ab47315
Anti-c-Jun antibody - ChIP Grade Mouse, Rat, Human, African Green Monkey ChIP, ICC/IF, IHC-P, WB, ELISA, IP, Flow Cyt ab31419
Anti-ERK1 + ERK2 antibody Mouse, Rat, Cow, Dog, Human IHC-P, ICC, ICC/IF, IP, IHC-Fr, WB ab17942
Anti-Fas Ligand antibody Mouse, Rat, Human IHC-Fr, ICC, ICC/IF, WB, IHC-P ab15285
Anti-HIF1 alpha antibody [H1alpha67] - ChIP Grade Human IHC-P, IP, ChIP, IHC-Fr, ICC/IF, WB ab1
Anti-JNK1+JNK2 (phospho T183 + Y185) antibody Mouse, Human ICC/IF, IHC-P, IHC-Fr, WB ab4821
Anti-MCL1 antibody [Y37] Mouse, Rat, Human ICC/IF, WB, IHC-P, ICC, Flow Cyt, IP ab32087
Anti-NFkB p65 antibody Mouse, Rat, Chicken, Human, Indian Muntjac IHC-FoFr, ICC/IF, IHC-P, WB, IP ab16502
Anti-n-Myc antibody [NCM II 100] - ChIP Grade Mouse, Human IHC-Fr, IP, WB, ICC/IF, Flow Cyt, ChIP ab16898
Anti-Nrf2 antibody Mouse, Rat, Human IHC-P, ICC/IF, IHC-Fr, WB ab31163
Anti-CDKN2A/p16INK4a antibody [2D9A12] Rat, Human Flow Cyt, WB, ELISA, IHC-P ab54210
Anti-KRAS antibody (ab55391) Human WB, IHC-P, Flow Cyt ab55391
Anti-MDM2 antibody [2A10] Mouse, Human ICC/IF, WB, IP, IHC-Fr, IHC-P, ICC ab16895
Anti-MDMX antibody [MDMX-82] Human ELISA, IP, ICC/IF, WB ab49993
Anti-PTP1B antibody [EP1837Y] antibody Mouse, Rat, Human ICC/IF, WB, IP, Flow Cyt, IHC-P ab52650
Anti-p53 antibody [PAb 240] Mouse, Rat, Dog, Human Flow Cyt, IHC-Fr, IP, ICC/IF, WB, IHC-P ab26
Anti-Ras antibody [234-4.2] Mouse, Rat, Dog, Human IHC-Fr, IHC-P, IP, WB ab16795
Anti-TNF alpha antibody [52B83] Mouse, Rat, Guinea pig, Human, Chimpanzee, Zebrafish, Cynomolgus Monkey, Rhesus monkey, Apteronotus leptorhynchus Flow Cyt, IHC-Fr, ICC/IF, ELISA, WB, IHC-P ab1793
Anti-ROMO1 antibody Human IHC-P ab121379
登録