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細胞周期の制御における Cdk と Cyclin

By Seán Mac Fhearraigh and David Bruce


細胞が遺伝的に同一な二つの娘細胞へと分裂するプロセスである細胞周期は、生命の根幹ともいえる現象です。この分野の研究は 40 年以上の長きに渡って研究が進められてきましたが、未だに全貌が解明されているとは言えない状況です。しかしながら細胞周期の制御については多くのことが明らかになっています。


Paul Nurse と Leland Hartwell の先駆的な仕事により、分裂酵母と出芽酵母それぞれについて、細胞周期進行の調節に関わる遺伝的変異体が同定されました。さらに、Yoshio Masui(増井禎夫)によるアフリカツメガエルでの成熟促進因子(Maturation promoting factor; MPF)の発見と、Tim Hunt によるウニ受精卵でのサイクリン(Cyclin)の同定をきっかけとし、細胞周期の制御に関わる重要なコンポーネントの発見が相次ぎました。2001年、Paul Nurse、Leland Hartwell、Tim Hunt の3名が細胞周期制御の理解への貢献により、ノーベル生理学・医学賞を受賞しています(Pulverer, 2001)。

哺乳類の細胞周期は G1 期(Gap1)、S 期(Synthesis)、G2 期(Gap2)、M 期(Mitosis)の 4 つの期(ステージ、フェーズ)に分けることができます。このうちG1 期、S 期、G2 期をあわせて間期(Interphase)と呼びます。S 期と M 期の開始、および M 期の終了に際しては、異常なく細胞周期が進行できているかを監視するスイッチのような、チェック・ポイント機構が存在します(Hochegger et al., 2008)。M 期はさらに、前期(Prophase)、前中期(Pro-metaphase)、中期(Metaphase)、後期(Anaphase)、終期(Telophase)、細胞質分裂(Cytokinesis)の 6 つに分けられ、核膜の崩壊(NEBD:Nuclear envelope breakdown)、染色体の紡錘体極への接触、染色体の中期プレート上での整列、姉妹染色分体の分離、2 つの娘細胞への分離がそれぞれ起こります。

サイクリン依存性キナーゼ(Cyclin-dependent kinase; Cdk)はセリン/スレオニン・キナーゼであり、パートナーであるサイクリン(Cyclin)と一時的に結合することにより、細胞周期の進行を制御します。Cdk2、Cdk3、Cdk4、Cdk6 の4つのファミリー・メンバーが存在し、結合パートナーであるサイクリン、(Cyclin D、Cyclin E、Cyclin A)と協調して間期を制御しています。


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追記

この図をご覧いただいた研究者の方からカードの内容につきまして、「G2/M phase の図中右、Beta-TRCPProteasomal degradation を受けるのは Myt1 ではなく Wee1(正確には Wee1A)」とのご指摘をいただきました。ありがとうございました。詳細につきましては下記の論文をご参照ください。



参考文献

  • Hochegger HS, Takeda S, Hunt T (2008). Cyclin-dependent kinases and cell cycle transitions: does one fit all? Nat Rev Mol Cell Biol 9, 910–916
  • Pulverer, B (2001). Trio united by division as cell cycle clinches centenary Nobel. Nature 413, 553
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