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c-Myc の構造、機能、制御


c-Myc とがん

がん原遺伝子(Proto-oncogene)とされている遺伝子の多くは、変異や切断などの修飾を受けることによってがん遺伝子(Oncogene)となり、正常細胞にがんを引き起こします。しかしながら MYC 遺伝子は、その遺伝子産物である c-Myc タンパク質が何らかの理由で過剰発現し、本来持つ細胞周期制御の機能を失うことによって、がんを引き起こします。

例えばヒトのバーキットリンパ腫では、転写活性の高い免疫グロブリン遺伝子の付近に MYC 遺伝子が転座し、その結果として c-Myc が過剰発現しています。同様の現象がびまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫(Large diffuse B-cell lymphoma)や、いくつかの上皮性悪性腫瘍でも認められています。


c-Myc のリン酸化と分解

c-Myc の発現は増殖細胞においては低く、またユビキチン・プロテアソーム経路(Ubiquitin/Proteasome Pathway)によって速やかに分解されることから、その半減期は 30 分間程度と、極端に短いものです。

血清刺激があると Ras タンパク質が キナーゼ ERK による c-Myc セリン 62 残基へのリン酸化を促し、c-Myc は安定化されます。一方でこれが引き金となって、GSK3 による c-Myc トレオニン 58 残基のリン酸化が促され、c-Myc は不安定化します。このようなリン酸化を経て c-Myc は、E3 リガーゼである Fbw7 と Skp2 によってユビキチン化され、プロテアソームにより分解されます。


構造と機能

c-Myc は、N 末端に構造を示さない転写制御ドメインがあり、そこには保存性が高い Myc ボックス I ~ IV が含まれています。このドメインは TRRAP、GCN5、TBP などの転写因子と複合体を形成します。また中央部には核局在配列が存在します。

c-Myc の C 末端には MAX とヘテロ二量体を形成する bHLH-Zip ドメインが存在します。このドメインは二量体を形成するまでは構造を示しません。c-Myc と MAX が二量体を形成すると、DNA の E ボックスモチーフ(5’-CACGTG -3’)に結合し、DNA ベンディングにより転写を促進します。この二量体が DNA に結合する際には、ヒストン・アセチラーゼなどのクロマチン修飾複合体をリクルートします。 

また、c-Myc はある種の遺伝子の転写を抑制します。TGF-β が存在しない時、Miz-1 の補助因子として CDK2NB(p15INK4b)に結合し、その転写を阻害します。c-Myc はまた、miRNA クラスターの miR17-92 の活性化と E2F1 の抑制を介し、TGF-β シグナル・パスウェイをターゲティングすることも知られています。

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