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フローサイトメトリー 10 のポイント

アブカムのテクニカル・サポート担当が語る、フローサイトメトリーを成功させるための 10 のポイントです。

1. サンプル調製

血清または 1% BSA または含む PBS に、細胞数が 1x105~1x106 cell/ml となるように調製するのが一般的です。この調製は氷上で冷やしながら行います。調製後はすぐに計測するのが望ましいですが、保存する場合は 4 ℃ とします。フローが詰まるのを防ぐため、また正しいデータを得るため、細胞が均一に分散されているのが望ましいので、機器にセットする前にサンプル溶液はよく撹拌して下さい。場合によっては細胞塊を除去するために、メッシュ・サイズ 50 um 程度のナイロン製フィルターで処理をしてください。
  • 血液サンプル:抗凝固剤を含むチューブに採血した新鮮なサンプルを用います。採血チューブおよび抗凝固剤(EDTA, クエン酸, へパリン)に関しては多数の市販品がありますのでこれら製品の情報を参照してください。血液サンプルの場合赤血球は溶血処理して除きます。一般的な処理溶液の組成は下記の通りです。
    ・KHCO3 10 mM ・NH4Cl 150 mM ・EDTA (pH8) 0.1 mM
  • 組織サンプル:酵素処理、あるいはまたはホモジナイザーを用いた処理で単一細胞にする必要があります。

  • 培養細胞サンプル:細胞数が多くかつ生細胞の割合が高い 70~80 % コンフルエントな状態で細胞を集めてください。100 % コンフルエントを過ぎたサンプルは死細胞や残骸が多く、あまり適していません。なお生細胞のカウントには Trypan blue が広く用いられます。サンプルとして適しているのは生細胞の割合が 95 % 以上あるものです。細胞カウントにつきましてはこちらのプロトコール(英文)をご参照ください。

2. 固定

ターゲットとする物質のタイプにより、染色後に固定が必要なものもあります。
  • 膜タンパク質:多くの場合抗体染色後、0.1~4 % PFA で10分間から一晩、固定してから計測します。固定しない場合は、染色後すぐに計測してください。
  • 細胞内タンパク質:細胞内に存在するターゲットを染色する場合には、抗体を細胞内へよく浸透させるため、細胞透過性を高めることが必要です。まず 0.1 % PFA で 10 分間、細胞を固定します。次に界面活性剤である Saponin の 0.1 % 溶液で 10 分間処理します。固定を冷アセトン/メタノールで行った場合は(時間は約 10 分間)、この固定自体で透過性が向上するので透過性処理は必要ない場合があります。ただしアセトンは自家蛍光を増加させることがあるので、その場合は機器の調整が必要となります。なおアセトンを使用しない場合でも固定と非固定のサンプルでは FCS/SCC プロットなどが異なり、機器の調整が必要となる場合があります。

固定と透過のプロトコールはこちらをご参照ください。

3. レーザーの位置調整

フローサイトメーターのレーザーの配置はコントロール用ビーズ、あるいはある決められた基準サンプルを流すことによって調整します。コントロール用ビーズは各社から粒子径、蛍光波長の異なる製品が数多く販売されています。

4. 装置の設定のために正しいコントロールを使用する

フローサイトメーターを正しく設定するためにポジティブ・コントロール、ネガティブ・コントロール(アイソタイプ・コントロールなど)をご使用ください。アブカムのアイソタイプ・コントロール製品はこちらのページから、お使いの一次抗体の免疫動物およびアイソタイプに応じてお選びください。その他必要なコントロールはこちらで確認下さい。

5. イベント・レート

フローサイトメーターの流速の設定は、低速、中速、高速といった表記のもの、具体的な速度が設定できるものなど各種ありますが、速度が設定できるものは通常 50 ul/min 程度にします。低速に設定しているのにも関わらずイベント・レートが高い場合は、細胞濃度が高すぎると思われるので、サンプルをバッファーで希釈してください。流速とイベント・レートはサンプルごとに標準化しておくことをお勧めします。
  • 流速とイベント・レートについて:流速が低い方がデータの正確さが増しますので、DNA 解析のような高い分解能データを必要とする場合、計測は低速で行います。CD マーカーなど免疫学的マーカー診断のような定性的計測の場合は、速やかに、また多くのサンプルを処理するために高速で行うことも可能です。

6. ゲーティング

ゲーティングとは、大きさや分散の程度などによって細胞の特定の領域または集団をデータ上で選択または除外することです。主な目的は細胞の残骸や破片などネガティブな集団を除くことですが、最近のソフトウェアでは様々な条件でゲートの設定を行うことができます。ただし常に同じゲーティングをできるわけではありません。論理的なゲーティングを行うよう心がけて下さい。

7. 分泌タンパク質

分泌タンパク質はその名の通り細胞外へ分泌・放出されるため、フローサイトメトリーによる検出は簡単ではありません。一つの方法として、ゴルジ体の機能を阻害するような物質(Brefeldin A など)を培地に加え、タンパク質が分泌されないようにするという手法があります。これを行う場合、タンパク質を細胞内にとどめておくために染色前の固定と、透過処理が必要となります。

8. マルチカラー解析

複数の蛍光色素を使ってマルチカラー解析を行う場合、各蛍光色素の蛍光スペクトルが重なることがあります。蛍光波長と励起波長がなるべく離れている蛍光色素を選択してください。もちろん蛍光色素に合ったフィルターが備え付けられていなければなりません。蛍光に関しては下記のページもご参照ください。

9. バックグランドが高いときは

  • サンプル・ラインが汚れている:Propidium iodide(PI)のような粘着性のある色素やゴミなどがサンプル・ラインに付着していることがあります。念入りな洗浄や取り換えを行ってください。
  • 機器の設定が違う:ポジティブ・コントロールを使い、再設定してください。
  • 過剰な抗体:抗体濃度を下げてください。また界面活性剤の添加が有効な場合があります(0.05 % Tween20 など)。
  • 死細胞とゴミ:サンプルの 95 % 以上が生細胞であることと、細胞の破片などのゴミが多く含まれていないことを確認してください。死細胞やゴミ由来のデータはゲーティングによって除外することができますが、データの正確性を記す意味から、これらの混入は少ないに越したことはありません。

10. 検出されないときは

  • 設定が正しくない:ポジティブ・コントロールを用いた機器の設定が正しいか、ゲーティングが適切か、再確認してください。
  • 抗体の量が十分でない:抗体の量や濃度を増やしてください。
  • 細胞内のターゲットに抗体が到達しにくい:ターゲットタンパク質が細胞内に存在する場合、抗体を細胞内に侵入させるために十分な透過処理が必要です。表面タンパク質の内在化を防ぐため、操作は氷上または 4℃で行ってください。付着細胞を分離する際に使用するトリプシンなどのタンパク質分解酵素は、ターゲットタンパク質を分解し、また表面タンパク質の内在化を促進する場合がありますので、より穏やかな処理を行って下さい。適切な透過処理を行えば、細胞表面抗原の検出と同様の条件で細胞内の抗原を検出することも可能です。
  • 標識物が大きすぎる:特にターゲットタンパク質が細胞内に存在する場合、蛍光色素はなるべく低分子のものを使用して下さい。高分子量の標識物は抗体の運動性を低下させ、細胞内へ侵入しにくくなります。分子量が大きい蛍光色素としてはタンデム色素が該当します。
  • 機器の設定:正しいコントロールを用い(上記ポイント 4 参照)、フローサイトメトリーの機器が正確にセッティングされているか再確認してください。
  • ターゲットタンパク質が存在しないまたは発現量が少ない:サンプルとなる細胞・組織がターゲットタンパク質を発現するかどうか、また検出するために十分な量の発現があるか、確認してください。
  • ターゲットタンパク質が可溶性・分泌性である:ターゲットタンパク質が膜結合型で細胞表面上に存在するものか、可溶性で分泌されるものか、改めて確認してください。可溶性で分泌されるものである場合は上記ポイント 7 をご参照ください。
  • 蛍光の減弱:長期間保存したり、光に曝したりすると、抗体に標識されている蛍光色素の蛍光は弱まります。

10+1. 安全衛生について

バイオハザードの観点から、血液サンプルやヒト細胞サンプルを使用する場合は、ご所属の機関の安全衛生上のガイドラインに従って実験を行って下さい。

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